秘める心の愛しさを今日の戦闘は苦戦続きの物だった
誰が悪かった訳ではない
たまたまの重なりが引き起こしたものだった
それはマスターへも向いてしまった。
咄嗟にマスターを庇った貴銃士がいた為マスターは無事だったのが幸いだと誰かが言った
スプリングフィールドは噂話の方へ耳を傾ける
「マスターは無事…そうですね…」
自らを犠牲にしたことで密かに思いを寄せるマスターを守れたことにスプリングフィールドはほっと安堵のため息を溢す。
向こうからマスターが必死の形相で走ってきた
視線の先はスプリングフィールドの手
「スプリングフィールド…!手!怪我してる…!!」
「だ…大丈夫です…大したことでは無いですしいつものことなので…」
「大したことなんて…早く手当てしないと!」
マスターが慌ててスプリングフィールドの手を取ろうとするが、スプリングフィールドは、さっと手を引く
マスターを心配させてはいけないと、咄嗟に動いてしまったのだ
「スプリングフィールド…」
マスターは引っ込められたスプリングフィールドの少しだけ血が滲む手を取るとそっと自分の頬に擦り寄せた
「お願いだから…無理はしないで…」
握られた手、広がる薔薇の傷跡、俯いて見えないマスターの顔。ああどうしてそんな顔を自分の為にしてくれるのか
そんな…どうか。と呟くあなたの手が
淡く儚く震えていた
(こんな僕でも…貴女を守りたい。どうか貴女への思いを胸に秘めながら傍に居ることを許してください…)
マスターを抱き締めたい。という欲に耐えスプリングフィールドは俯くマスターをじっと見つめたままそっと静かに目を閉じた