瑞雪舞う、初恋「痛え……」
頭の中に、脈を打つような痛みが走る。腰付障子を透過する朝の優しい光が、やけに眩しく感じる。形容し難い初めての疼痛と不快感で、今は布団に体を沈めるしか出来ない。
「宇髄君、今、白湯を持ってくる。無理をしないで、横になっていなさい」
気遣う声は優しい。だからこそ、こんな姿は見せたくない。
「こ、んなん…、だ、い、丈夫だ…」
敷布団に掌を着き、片膝を立ててから一気に立ち上がる。瞬間、ガツンッと側頭部に突き刺すような痛みが走り、宇髄は呻き声を上げて布団に倒れ込んだ。
「今は、安静にするのが一番だ」
ほんの一瞬、声の主の手が背中を擦る。
「止めなかった私にも責任はある」
自責の念に駆られる言葉を否定したい。しかし足音は遠のき、その人が部屋を出て行くのが分かった。追い駆けたいのに、手すら伸ばせない。胃の中がうねり、吐き気が込み上げて来る。
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