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    ひかわ

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    ひかわ

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    キメ学、杏千です

    #杏千
    apricotChien

    誤算午前の授業を終えた杏寿郎は机に置いた弁当の入った保冷バッグを開けた。

    「今日は随分小せえんだな」

    いつの間にか後ろに立っていた宇随の言葉に杏寿郎は「まあな」とだけ返した。分かっている。大食漢な自分が普通サイズの弁当1つでは足りないが仕方が無い。これを作ってくれただけでも有難いのだ。しかし中から出した弁当の包みを解いた手は一瞬だが止まった。

    「何だそれ!?」

    それは杏寿郎も同じ思いだった。

    目の前には可愛らしい絵本のキャラクターの白いくまが描かれた蓋で閉じられた鮮やかなオレンジの弁当箱。

    「中身は?早く!早く!」
    「待ってくれ!」
    急かす宇随に多少の疎ましさを感じながら杏寿郎は恐る恐る蓋を開けた。


    「すっげ~っ!!」
    宇随の感嘆の声に誘われ、職員室に居た胡蝶、不死川、悲鳴嶼、冨岡の面々が集まって来た。
    「あら、可愛い」
    「何だ、これ?ゆるキャラか?」
    「しろくまだな。くまも可愛らしいが、猫も良いぞ」
    「‥‥」

    「何?今日はキャラ弁なのかよ?千寿郎も随分と手の込んだ事を朝からしてくれるんだなあ!」
    「手の込んだ…?」
    宇随の言葉を杏寿郎が復唱すれば胡蝶は「勿論!」と嬉しそうに説明した。普段料理をしない杏寿郎にはこの手間が分からないだろう。
    「それはもう、時間が掛かりますよ。煉獄先生、この顔のパーツになっている海苔の細かさを見てください。ミリ単位で一つ一つ切って、バランス良くおにぎりに貼っています。それにこのうずらの卵なんて芸術的ですよ!卵焼きの形には思いが込められていますよね。私は朝からこんな細やかで時間のかかる事は出来ません」

    そう言われれば細かなパーツが多い。杏寿郎は弁当の中身を一つ一つじっくりと見た。

    小さな耳を付けたおにぎりには切った海苔と人参で目になり、細く切った海苔の鼻が付いて蓋と同じくまの顔になっている。

    茹でたうずらの卵の白身はギザギザの切り口で上下半分に切られ、その中から少し見える黄身にはゴマの目、人参の嘴が付き、可愛らしいひよこが殻から顔を覗かせているかの様だ。

    そして胡蝶が言う思いの込められた卵焼きは斜めに切った切り口を合わせてハート型になっていた。

    「思い…」

    「朝からお前を思ってこんな事するなんて相変わらず仲良しだな、お前等は!」
    「まだ昼飯も食ってないのに腹一杯だ」
    宇随と不死川が呆れたとばかりに大袈裟に溜息を吐く中、冨岡はポツリと呟いた。

    「そのウィンナーも…」
    「え?」

    杏寿郎は卵焼きの隣のウィンナーを見た。くるんと足を広げたタコさんウィンナーだ。

    「可愛いな…」
    「あ、ああ…」

    ゴマの目の下は口に見立てたスライスチーズの輪っかが落ちない様にパスタで留められていた。
    その他にミニトマト、ブロッコリーが入り彩も考えられている。この小さな弁当の中はまさに「可愛い」の詰め合わせだ。

    「それにその箸!」
    一緒に袋の中に入っていたのはスプーン、フォーク、箸の3点セット。勿論弁当箱と同じくまの柄付きだ。その上子ども用なので短く、杏寿郎の大きな手では使い辛いのは目に見えていた。

    「何なの?千寿郎は何がしたいの?癒し?嫌がらせ?」
    可愛らしい見た目、少ない量、食べ辛い小さな食具。同僚たちは千寿郎の考えが読めなかった。当の杏寿郎も「何故だ?」と首を傾げていた。
    千寿郎の意図が読めない。しかしこんなに可愛らしい弁当は初めてだ。記念に撮っておかねば。杏寿郎は満面の笑みでその弁当をスマホに収めた。

    「倦怠期を乗り越える為のサプライズか?」
    不死川の言葉に宇随はああ!と声を上げた。
    「コイツ等、長年連れ添った夫婦みたいなもんだからな!よし煉獄、食ってる所撮るからこっち向いてくれ」
    RECモードにした宇随のスマホには「待て宇随!可愛過ぎてどれから食べて良いのか悩む!」と頭を抱えた後に、「どれにしようかな、天の神様の言う通り…」と数え歌で一番に食べる物を決め、「うまい!愛い!うまい!愛い!」を繰り返す楽しそうな杏寿郎の姿が収められた。


    ※※※※※


    「千寿郎、ただいま。今日も弁当を有難う」
    今夜は玄関への出迎えが無かった。キッチンで夕飯を作る千寿郎に声を掛けてからシンクに空になった弁当箱を入れ、いつもの様に礼を言った。
    「…いいえ」
    対して千寿郎の声は暗い。嫌、怒っているのだ。杏寿郎は昼の弁当の件でもう機嫌が良くなったと思った自分の考え甘さを痛感した。きちんと謝罪をせねば。その前にあの弁当への感謝は改めて伝えたかった。

    「千寿郎、昨夜お前を怒らせたのに、今朝も何時もの様に弁当を作ってくれて有難かっ」
    「…見ました?」
    千寿郎は杏寿郎の言葉を遮った。
    「え?」
    「中身。お弁当の中身を見ましたか?」
    キャベツを切る手を止めた千寿郎は低いトーンで問いながら横に立つ杏寿郎の方に体を向けた。
    「あ、ああ見た」
    食べたのだから当然だ。

    「何処でですか?」
    「何処でって
    「職員室ですか?」
    「あ、ああ。いつもと一緒の職員室だ」
    「他の先生も居ましたか?宇随先生とか冨岡先生とか」
    「ああ居たぞ。悲鳴嶼先生も、不死川も胡蝶も」
    その時居たメンバーの名を出せば千寿郎は口の中で「1、2‥」と数を数える。
    「5人ですね」
    「ああ…」
    質問の意味が分からず、戸惑いながらも答える杏寿郎に千寿郎は更に質問を投げ掛けた。

    「恥ずかしかったですか?」
    「え?」
    「あんな子ども染みたキャラ弁やお弁当箱やお箸を他の先生に見られて恥ずかしくなかったですか?」
    「えっと…」
    「ねえ、どうでした?」

    正直に答えれば「ノー」だ。恥かしさ等微塵も感じなかった。
    しかしそれを言えばどうなるのだろうか?
    杏寿郎は賭けた。

    「は、恥ずかしかったぞ!」
    「やっぱり!」

    嬉しさを隠せないとばかりに千寿郎は杏寿郎に抱き付いた。予想外の行動に杏寿郎は目を丸くするだけだった。
    「そうでしょう?大人な兄上があんなキャラ弁を食べるのは恥ずかしいでしょう?ましてや他の先生に見られるなんて!ねえ、兄上!皆さん何て言っていました?」

    小さな唇は「ねえ?ねえ?」と杏寿郎の唇の近くで答えを急かす。まるで口付けを強請られているかの様だ。しかしその口が望むのはキスでは無い。きっとこんな返事だ。

    「お、お前がこんな可愛い弁当なんて、恥ずかしいなと言っていたな…」
    「でしょう!」

    嬉しそうに目を輝かせる千寿郎に正解が分かった杏寿郎の口からは、頭で考えるよりも先に次から次へと言葉が吐き出された。

    「良い大人のお前に可愛いくまなんて似合わないなと宇随に笑われた!ほ、他の皆も、そうだ!そうだ!と大笑いだ」
    「うん!うん!」
    「あ、穴が有ったら入りたかった!」
    「恥ずかしいですよね!こんな恥ずかしい事今迄ありました?」
    「無いな!無い!」

    そんな事実は無い。しかし慌てて作った架空の昼の時間を話せば、千寿郎の目は陽の光の如く輝く。

    「余りに恥ずかしくて手で隠して食べた位だ」
    「ふふふ!あんな少しの量だし、皆さんに見られない様に食べなくてはいけないし、いつもの楽しみなお昼の時間が今日は恥ずかしい時間になってしまいましたね」
    「ああ!今日の昼は居た堪れなかった」

    杏寿郎の言葉に千寿郎は小さく「やった!」と呟いたのを聞き逃さなかった。
    心の中で杏寿郎は「これがしたかったのか…」苦笑した。



    昨夜、杏寿郎は迎える夏休みの計画を千寿郎としていた。今年は纏まった休みが取れない。1泊2日で近場なら何とか、と言う杏寿郎に千寿郎は無理はしないでくださいと気遣った。

    早期割引を狙って予約した計画はこれまで3回消えている。教師という職は思った以上に忙しく、直前での変更が多くキャンセル続きなのだ。
    今度こそは絶対に、と誓う杏寿郎に千寿郎は1日の休みでも取れたら、日帰りで良いですと代案を立てた。その方が現実味があるのは分かっている。しかし行きたいのだ。

    「此処にしよう!」
    豪華な温泉旅館のHPを千寿郎は見つめなながらiPadを持つ杏寿郎の手に自分の手を重ねた。
    「俺は兄上と過ごせるなら、出掛けなくてもいいんです。一緒の時間を過ごせるならこの家でも十分です」
    それが千寿郎の本心なのは分かっていた。しかし出掛けたいのも本心だろう。

    「大丈夫だ!」

    明るく言う杏寿郎に千寿郎は「無理しないでください」と優しく声を掛ける。
    何ていじらしい!やはり行かねばならぬ。

    「行く!絶対行く!」

    そう宣言した杏寿郎に千寿郎はスッと目を細めて静かに言った。

    「いい加減にしてください。俺は兄上に無理をして欲しくないんです。大丈夫と言って、旅行までに無理に仕事を片付ければ残業が続きます。結果兄上が体を壊さないかが一番の心配なのに…。夏の旅行は計画しません。兄上とは何処にも行きません!」
    「せ、千寿郎?!」

    兄を気遣う千寿郎の思いと、弟を楽しませたくて張り切る杏寿郎の思いはすれ違ってしまった。あの千寿郎が静かに怒っている。

    「千寿郎、俺はだな」
    「もう寝ます!今日は一緒に寝ませんから。自分の部屋で寝ます。来ないでくださいね!!」

    頬を膨らませ、口を尖らせて怒る顔も可愛い。ついデレデレと見惚れていれば「俺は本気で怒っているんです!」と更に頬を膨らませた。
    ぷんぷんと言う擬音を周りに纏わせながら千寿郎は一人、自室に入っていった。
    「すまない!千寿郎。お前の気遣いを無下にしてしまった」
    「寝ます!おやすみなさい!」

    怒っているのに律儀に挨拶をする千寿郎はきっとベッドの中で布団に包まっているのだろう。想像しただけでも可愛らしい。しかしそれは口に出来ない。

    「千寿郎、話を聞いてくれ!」
    ドアは初めて鍵が掛けられていた。
    「千寿郎…」
    大の大人の杏寿郎はしばらく千寿郎の部屋の前で呆然と立ち尽くしていた。

    翌朝は「おはようございます」のみで会話は無かった。しかし無言で保冷バッグを渡される。怒っていても弁当を作る千寿郎の優しさに感動し、抱き締めようとすれば伸ばした手を交わされた。
    まだ機嫌は戻っていない。帰ったら改めて謝ろう。杏寿郎はいつもより小さな保冷バッグを大事そうに抱えて仕事に向かった。
    それが今朝の出来事だ。



    「千寿郎、本当に昨夜はすまなかった。お前を怒らせた事は心から謝る。だから今後あの様な弁当は勘弁してほしい」
    「ふふふ。そうですよね、そうですよね」
    千寿郎は楽しそうに杏寿郎の頬を両手で包んで微笑む。
    「兄上の面目もありますし、恥ずかしいですよね。仕方ありませんね、もうしませんよ」
    「では許してくれるのか?」
    「はい!」
    「ああ!良かった。お前を怒らせ、碌に口も聞いて貰えず寂しかったんだ。弁当一つであんな恥ずかしい思いをするとも思っていなかった。イヤ、元はと言えば俺が悪い。もう無理はしない。千寿郎、お前のあの仕打ちに兄は参った。もう二度と御免だ!」

    杏寿郎が深い反省を述べれば、千寿郎の機嫌が益々良くなるのが目に見えて分かった。

    「千寿郎、弁当はいつものが良い。可愛すぎて恥ずかしい」
    芝居がかった台詞にも千寿郎は気を良くする。
    「明日からはいつものお弁当にしましょうね。もう恥ずかしいお弁当は作りませんよ」
    「ああ、千寿郎は何て優しい子なのだ」

    眉を下げた杏寿郎は千寿郎の髪に顔を埋め「千、千」と縋る。そうする事で千寿郎の母性が顔を出す事は分かっていた。謝罪の場ではあるがつい甘えたくもなる。

    「もう、兄上ったら。もう怒っていませんから顔を上げてください」
    「本当か?」
    「本当です」
    「もう怒っていないか?」
    「怒っていません」
    「千…」

    杏寿郎は髪から顔を離して千寿郎の両手を握り、膝立ちをして顔を見上げた。その頬はみるみる赤くなっていく。
    「有難う、許してくれて」
    「いえ…。俺も怒り過ぎました」

    いつも以上に下が眉に千寿郎の反省が伺える。

    「お前に許された事で安心出来た。しかし言葉だけでなく態度でも示して欲しいんだ。怒らせた俺が悪いのは十分に分かっているが、兄の我儘を聞いてくれ」
    「態度、ですか?」
    「ああ、お前と昨夜、今朝も口付けが出来なかった。お前は拒んでいた。もし本当にお前が怒っていないのなら、この兄にお前から口付けをして欲しい」
    「え…」
    千寿郎は言葉を失った。恋人同士になって早数ヶ月。キスは数えきれない位にした。しかしいつも杏寿郎からで千寿郎からはした事が無いのだ。
    「やはりまだ怒っているのか?」
    「い、いえ!」

    しょんぼり兄を演じれば、これ以上悲しませたくないと言わんばかりに千寿郎は首をブンブンと振った。
    「わ、分かりました」
    「本当か!」
    杏寿郎は心の底から喜んだ。こんな状況を利用する様ですまない、と謝りながら。

    「目は瞑ってくださいね」
    「分かった」

    千寿郎は目を閉じ杏寿郎の顔にゆっくりと顔を近付けた。握る手からも千寿郎の緊張が伝わってくる。
    軽く口先が触れると千寿郎は勢いそのままに唇全体を押し付けた。杏寿郎がする厭らしさのない、必死なキスだったがその不慣れさが返って杏寿郎を喜ばせた。

    ギュウッと閉じたまま離れる唇。杏寿郎は立ち上がると、緊張が解けて涙目になる千寿郎を優しく抱き締めた。

    「千寿郎からキスをしてもらえるとは…。今日のあの辱しめが全てチャラになる位に素晴らしい日だ」
    「お、俺も、兄上に自分からキスが出来て嬉しい‥、です」
    杏寿郎は真っ赤な顔の千寿郎をきつく抱き締めた。

    ※※※※※

    「何?今日はもうフツーの弁当なの?」
    面白くねえ、宇随は重箱に詰められた唐揚げを勝手に摘まんだ。
    「ああ」
    杏寿郎は簡単に喧嘩の原因と昨夜の出来事を説明した。
    「しっかし千寿郎の怒り方ってお子様だよな。お前に恥を掻かそうと手間を掛けてキャラ弁、作るんなんてさあ。その斜め上の発想が面白えわ。結局はお前を喜ばせてんのにな」
    「千寿郎らしい可愛い怒りの表現だ。しかし宇随、俺が喜んでいた事は決して千寿郎には言わないでくれ」
    「何で?」
    二個目の唐揚げを頬張りながら宇随は首を傾げた。

    「俺が恥ずかし思いをした事で千寿郎は自分の作戦が成功したと喜んでいる。あんな無邪気な顔を見たら俺もつい調子乗って、皆に見られて恥ずかしくて居た堪れなかったと大袈裟に話を盛ってしまった。あれが嘘だと分かったら今度こそ千寿郎は本当に怒るだろう。キャラ弁では済まない」
    「…へえ…。本気で怒らせたら千寿郎は怖えの?」
    「今迄そこ迄怒った事が無いから多分、だ。子どもの頃、母が父に静かに怒っていたのを見て、関係の無い俺ですら震えた。千寿郎は母に似ているから多分、怖いなんてものでは無い筈だ」

    「…なあ、煉獄」
    宇随の声は少し上擦っていた。
    「何だ?」
    「すまない」
    「え?」
    「今朝送った」
    「何をだ?」
    「昨日お前が嬉しそうに弁当食べてる動画」

    杏寿郎は大きな音を立てて椅子から立ち上がった。

    「…!もしや」
    「そのもしやで千寿郎に…」
    「う、宇随!何て事をしてくれたんだ!」
    「だって、まさか喧嘩からのキャラ弁だとは思わねえじゃん!また仲良し兄弟が楽しんでるかと思ったから俺は千寿郎が喜ぶと思ってだなあ!」
    「君の行動はいつも軽率過ぎる!」
    「俺は良かれと思って!」
    「良くない!」
    「ああ、もう!」

    宇随は予想外の展開に髪を掻き毟った。同僚の恋愛に華を添えようと思ったのが間違いだった。
    「悪かった。何か有れば責任は取る。取れればだけどな!」
    半ばやけくその宇随の謝罪を聞き流し、杏寿郎はある事を思い付いた。
    「宇随!千寿郎は学校が終わる迄スマホは見ない筈だ。今直ぐ取り消してくれ!」
    「そ、そうだな」
    宇随は急いでLINEの千寿郎とのトーク画面を開いた。
    「あ!」
    「どうした宇随!?」
    宇随の差し出した画面には既に(既読)の文字が付いていた。
    「まさか…」
    杏寿郎は宇随が動画を送った時間を見た。

    7時05分

    その時間、杏寿郎は先に家を出て不在だった。千寿郎はまだ家に居た。それならば見るだろう。そこに返信は無い。マメな千寿郎は見たら直ぐに返事をするのに無いのが怖い。
    杏寿郎は震える手で自分のスマホを見た。
    「…!」
    「どうした!?」
    今度は宇随が杏寿郎と千寿郎のトーク画面を見た。

    (兄上、帰ったらお話があります)

    そこに有ったのは絵文字もスタンプも無いあっさりした文章のみ。

    (分かりました)

    何故か敬語で杏寿郎は返信していた。
    「すまない…」
    隣の杏寿郎の顔色は見る見る青褪めていく。いつも上がっている眉尻は情けない位に下がり、宇随の謝罪に「イヤ、俺が嘘を吐いたのが悪いのだ…」と聞いた事の無い小さな声が返って来た。宇随は益々申し訳無くなる。

    今度は何が待ち受けているのだろうか?
    その日、杏寿郎は生まれて初めて足に重さを感じながら家に帰って行った。
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