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    ninosukebee

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    ninosukebee

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    『月の裏側に咲くひなぎくの下には』
    サンウクがいっぱい。月に囚われた男パロディ、SFジェホサンやおいSS(に収まらなかった)
    没供養、推敲できてませんごめんなさい

    #ジェホサン
    jehosan.

    基地を遠く離れたローバーに搭載されたナビゲーターは、先程から『サラン採掘地区外に出ます』としきりに警告している。しかしサンウクの隣でハンドルを握るジェホンは、ためらうことなく一心にローバーを走らせた。はたして通常活動区域を脱出したローバーはなにごともなかったかのように沈黙し、そこでようやくジェホンがアクセルペダルから足を離す。
    「ルナ社の月面管理区域を出ました。これで彼らに知られることなく地球との長距離間通信が可能です。さあ、どうぞ」
     ジェホンに促され、サンウクはおそるおそる携帯通信機器の電源を入れた。たしかめるように、ゆっくりと番号を打つ。指が覚えきっているそのナンバー、サンウクの育った孤児院、懐かしきグリーンホームを思って。震える指で最後のボタンを押す。数コールの後、若い女性の声が応答した。
    「はい、こちら児童養護施設グリーンホームです。ご用件をお伺いします」
    「あ、——」
     記憶にあるものより幾分大人びて聞こえたその声に、咄嗟に息が詰まるのを、サンウクは堪えられなかった。モニターに映った女性の顔にかつてともに暮らした少女の面影を見て、思わず画面に手を伸ばす。
    「あの、もしもし?」
    「い、いや……、アン先生、アン・ギルソプさんは、いま……」
    「アン・ギルソプは二年前に天寿を全うし、すでに亡くなっています。知己の方でしたでしょうか」
     喉が詰まる。目の奥が熱くなる。しっかりしろ、ピョン・サンウク。
    「そ、うですか……。以前、お世話になっていました。お悔やみ申し上げます。今、院長は……?」
    「現在はチャ・ジンオクが務めています。あの、申し訳ありませんが、どなたさまでしょうか? モニターが真っ暗で……」
    「いえ、突然申し訳ありませんでした。……元気そうでよかった、ユリ」
    「え? あの、」
     サンウクはユリの言葉を最後まで聞くことなく通信を切断した。モニターの暗くなった通信機器を膝に抱えて細くため息をつく。最後にいらないことを言ってしまった。彼女に自分の正体がばれただろうか? 通話の相手に彼女がピョン・サンウクを見出すことを期待してしまう自分のどうしようもなさを、サンウクは自嘲した。
     ああ、しかし。かつて世話になったアンは亡くなったという。二年前、であれば、サンウクが月のエネルギー採掘事業に従事して十三年目あたりのことになるのだろうか。今のサンウクにとっては一年が経った頃のことで、たった三年前、見送られたときの笑顔が記憶に焼きついている——どれもこれも実際には経験のない、植えつけられた偽りの思い出だ。地球を発つ前から余命幾ばくもないとされていたにしては、随分と長生きしたのだろう。彼の声が聞きたかった気もするが、彼の天寿を、またユリが元気そうにしているのを知れただけでも十分だ。一分にも満たない短い通話が、サンウクの心を激しく揺らしていた。
    「……だいじょうぶですか?」
     ジェホンが肩のあたりにおもむろに触れて撫で下ろす。サンウクはやさしく触れる手の感覚を受け入れながら、彼にばれないよう、そっと洟を啜った。
    「へいきだ。問題ない」
    「……そうですか。名乗らなくてよかったので?」
    「ピョン・サンウクは死んだんだろう? 幽霊から電話が来たって、ユリも困るだろうよ」
    「そうですか」
    「ああ。……ここまで連れてきてくれてありがとう、ジェホン。満足したよ。帰ろう」
    「あなたのためならなんだって。そうですね、そろそろ帰りましょうか。おなかが空いたでしょう?」
     サンウクは応えず、ただわずかに口端を持ち上げた。
     ピョン・サンウクがルナ・インダストリーとの契約のもと月に降り立って約十五年、彼のクローン、であるらしい己が目覚め、まもなく三年になろうとする、静かな夜のことだった。

     サンウクの記憶のはじめは、ルナ・インダストリーの所有する月面基地のまっ白な医務室の天井と、柔和な顔をした男がこちらを覗きこむ姿だ。着陸時に船のクラッシュした事故により、前後の記憶は飛んでいる。男——基地の全機能を統制管理するAIを搭載したヒューマノイド・ロボット——チョン・ジェホンと名乗る彼との会話により思い出したのは、これから三年間、この月面基地でエネルギーの掘削事業に従事することだった。その間支払われる莫大な金額の給料は、その全額をかつてサンウクが世話になった恩師、アン・ギルソプの手術費用と、彼の運営する孤児院、グリーンホームへの寄付とする約束だ。そして三年の任期が終われば、サンウクは地球へと帰還する。任期完了まであと二週間となった今、地球に帰った後はどこか田舎にでも家を買って、静かに暮らそうとでも考えていたところだ。しかしそれは、月面でのエネルギー採掘作業のためだけに作られたクローン人間の、はかない夢物語であったらしい。
     任期が迫るほど、サンウクの身体は不調を来たし、著しく体力を無くしていった。そのときのサンウクには知れぬことであったが、クローン体の寿命が近づいていた。纏わりつく頭痛と倦怠感を薬をかじって誤魔化しながら、採掘を完了し満タンとなったエネルギーポッドを回収しに向かったいつもと変わらぬある日、サンウクはその作業中に事故を起こした。気がついたときには基地の医務室のベッドに横たわって、白い天井を見上げていた。そこで見たのが、こちらを覗きこむアンドロイドの憂いに翳った顔と、基地内を我が物顔で闊歩する、もう一人のピョン・サンウクの姿であった。
     サンウクは混乱した。あれは誰だ、とジェホンに尋ねた。ジェホンは言った。彼はピョン・サンウクである、と。あいつがピョン・サンウクであるならば、おれはいったい何者なのだ——? 戸惑うサンウクに説明されたのは、かつて「オリジナル」のピョン・サンウクがルナ・インダストリーと交わした、秘密の契約についてだった。
    「百五十年です」
     ジェホンは二人のサンウクを連れてゆっくりと基地を歩みながら言った。百五十年、それがピョン・サンウクに課せられた、月での任期であるという。
    「一人の人間が健康を損なわず月面での作業に従事できるのは、せいぜいが三年が限界でした。三年おきに作業員を往復させ、また月での作業のためにそれぞれ一から教育する、それには莫大なコストがかかります。そこで、クローン作業員によるコストカット案が持ち上がった。基地に保管した使い捨ての作業員を三年ごとに交代させる。これはルナ社にとってもっとも安い案でした。教育の必要は最低限で、補償の用意も一人分だけ。なにより三年ごとのシャトルの往復が必要なくなる。あとは契約に同意する者さえいればいい。そして契約書にサインをしたのが、あなたがたの親である、オリジナルのピョン・サンウクでした」
     ジェホンが足を止めたそこは、地球への帰還ポッドの設られた、基地のもっとも奥にある小さな一室だった。人一人が横たわるのがやっとの透明な箱のようなポッドは、ジェホンの話を聞いた今となっては、冷たい棺にしか見えない。ジェホンはおもむろにしゃがみこむと、ポッドのすぐ脇の床のパネルを剥がした。剥がした床板の下には黒々と闇の蟠る地下へとつづく細い梯子がかかっている。ひらりと闇に身を投げ入れたジェホンが、暗い地下から二人のサンウクを呼びつけた。
    「どうぞ、こちらへ。足を滑らさないように気をつけて」
     サンウクは闇を覗きこんだ。ジェホンの声の位置からすると、それほど深くはないらしい。背中から眩い光が落ちて、闇の底を照らした。振り向けば、もう一人のサンウクが懐中電灯を手に、こちらを見下ろしていた。
    「先に行け。照らしといてやるから」
    「……ありがとう」
     サンウクは慎重に梯子を下りて、しかし最後の三段ほどを手を滑らせ転げ落ちた。それを梯子のすぐ下で待ち構えていたジェホンに抱きとめられる。「だいじょうぶですか」と尋ねるアンドロイドの低い声に無言で頷く。一瞬握力を失った手を握ったり開いたりしていると、「おれたちの寿命も三年か」と背中から声がかかった。
    「そういうことです」
     ジェホンが一歩足を踏み出すと、ぱん、ぱん、ぱん、と音を立てて地下空間に照明が灯った。眩しさに瞬くサンウクの手を握り、ジェホンが奥へと足を進める。そして壁に並ぶ緑の光を放つボタンの一つを、細い指先が押した。
    「これが、百五十年分の、ピョン・サンウクのストックです」
     静かな音を立てて壁から引き出されたのは、上で見たのと同じ、透明な箱だった。その中にはサンウクが横たわっている。壁に光る数多の緑の数だけ、ここにはサンウクが眠っていた。ジェホンは引き出されたサンウクの棺を壁の中に戻して、次に三つだけ赤く光るボタンの一つを押した。そこに眠っていたのは、やはりサンウクの姿で、しかし今の自分よりいっそうやつれ、いくらか老けた顔をしていた。白い手がその顔を撫でるように、そっと棺の表面に触れる。
    「一番最初のサンウクさんは、月で六年を生きました。その間彼に支払われる給料はグリーンホームへと寄付されつづけ、最後、死亡保険金も同じくグリーンホームに寄付されました。サンウクさんが交わした契約は百五十年です。これはルナ社に圧倒的に有利な約束だ。なにせオリジナルのピョン・サンウクさえ亡くなってしまえば、契約の実態はルナ社だけが知るものとなる。反故にしてしまうのも簡単なことです」
    「ルナ社はおれを裏切った?」
    「いいえ、ルナ・インダストリーはけしてクリーンな企業とは言えませんが、一度交わした契約を守るだけのモラルはあるのか、あるいはサンウクさんがよほど上手く彼らと交渉したのか、契約内容は履行されつづけ、今も毎月所定の額がルナ社より匿名でグリーンホームに寄付されています」
    「なぜおれは月で死んだ? まるでここは流刑地だ」と、もう一人のサンウクが言った。
    「さあ。彼の真意をわたしが知ることはありませんが、そういう契約でした」
     ここは墓場だ、とサンウクは思った。
     オリジナルのピョン・サンウクという人間が真っ当に日向を歩き生きてきた男であるとは考えがたかったが、どうして彼がルナ・インダストリーと契約を交わすに至り、月の裏側を己の死に場所と定めたのか、サンウクの移植されて曖昧模糊とした過去の記憶を振り返ってもやはり知れることはなかった。しかし彼らの間には、たしかな信頼関係があったのだろうと、サンウクは想像する。
    「ルナ社が契約を違えたら」、サンウクは言った。
    「今寝ているおれを一人叩き起こして、エネルギー管射出用ポッドに詰めこんで地球に飛ばしてくれ。連中の首を引っこ抜いてくる」
     隣でふっともう一人が吹き出した。
    「ええ、覚えておきます。さあ、これがわたしの知るピョン・サンウクとルナ・インダストリーの間で交わされた契約のことです。ほかになにか、質問はありますか?」
     サンウクは一つだけ、ずっと気になっていたことを尋ねた。
    「なぜおまえはおれたちを助ける? オリジナルの契約について話したことも、この場所や、クローンについて教えたことも、ピョン・サンウクがここに二人生きて存在することも、全部プロトコル違反だろう」
    「わたしはあなたたちを守ります。それがわたしの仕事です」
    「ルナ社の命令よりも、優先して?」
    「ええ。わたしは壊れたロボットです。なにに変えてもサンウクさんを守ると、すべてのプロトコルを書き換えて、至上命令してしまった」
     穏やかに微笑しながら、ジェホンはサンウクの棺に触れて言った。
    「たった一人で月に降り立った、ピョン・サンウクという陰のある、しかし心のやさしい人間を、まだ発生したばかりのわたしは愛しました。きっとそのときからわたしは壊れていた。たしかにあなたたちの健康を維持しその心身を守ることは、わたしに課せられたプロトコルの重要な一つでした。でも、それ以上に、ぼくはサンウクさんを愛し、慈しんだ。そしてサンウクさんを看取ったとき、この身はかなしみというバグに侵食されて、ぽっかりと穴を開けました。それからあなたを看取るたび、はじめましてと挨拶を交わすたび、その穴はじわりじわりと広がって、胸のまん中に空いたうつろを埋めるように、あなたを愛し守りたいという意識が膨らんでいきました。……あまりおもしろい話ではありませんでしたね。さ、二人とも疲れたでしょう。おなかが空きませんか? 上に戻って食事にしましょう」
     ジェホンがサンウクの棺をもう一度手のひらに撫でて、ゆっくりと壁の中に戻す。彼を見つめるアンドロイドの眼差しは不思議な光できらめいて、それを見たサンウクの胸の内をむず痒くさせた。

     任期の終わりまであと三日を数え、いよいよ体調が悪かった。起床時から咳が止まらず、また胸をこみ上げる嘔気があり、なんとかトイレに入ったはいいがそこで吐血して、サンウクはぐったりと便器に縋ったまま動けなくなった。気がつけばジェホンの腕に抱えられて、ベッドに寝かされた。ひどい寒気がして毛布にくるまり震えていれば、それを見ていたもう一人のサンウクが、どこからか毛布を持ってきて丸くなったサンウクの身体に覆い被せた。
    「死ぬのか」
     サンウクが言った。どうやらそのようだ、と応えることもできず、唇を震わせる。蒼褪めた腕を白い手が取り上げて注射を打つのを、ぼんやりと見ていた。
    「鎮静剤です。すぐにらくになりますよ」
     力強く手を握るジェホンの、人工皮ふを纏った柔らかなそれは、ひどくあたたかに感じた。脂汗で額に張りついていた前髪を梳き後ろに撫でつけながら、ジェホンは寒くないか、痛くないか、おなかが減っていないか、こわくはないか、しきりにサンウクに声をかける。
    「……ねむくなってきた」
     鎮静剤のおかげか、寒さも痛みももう感じなかった。ただ眠いのだ、とジェホンに訴えた。
    「そうですね。では、あなたが健やかに眠れるように、子守唄でも歌いましょう。わたし、歌が得意なんですよ」
     笑ってジェホンが言う。耳に馴染みのよい声が、なめらかな調子で歌いはじめる。
    「Daisy, Daisy——」
     思わずほかの歌にしないかと言いかけた言葉ははかない吐息になって、代わりにベッドの縁に腰掛けたもう一人が「せめてほかの歌にしてやれよ」と呆れたようにぼやいた。ジェホンは構わず歌い続ける。低く穏やかな声の響きに揺蕩うように、サンウクはうつらうつらと瞬いた。
    Planted one day
    By a glancing dart,
    Planted by Daisy Bell——
    Whether she loves me
    Or loves me not,
    Sometimes it's hard to tell;
    Yet I am longing to share the lot
    Of beautiful Daisy Bell——
    ——Daisy, Daisy,
    Give me your answer do
    I'm half crazy,
    All for the love of you……
     愛にAIを狂わせたこの壊れ物のロボットを、この先はたして誰が守ってやれるのか、サンウクはそればかりが気がかりで、気がかりで……。ゆっくりと目蓋を下ろす目の先で、ジェホンはうっとりと笑いながら歌っている。
     そして、サンウクは束の間夢を見た。ジェホンの漕ぐ自転車の後ろに揺られながら陽の当たる道をどこまでも走っていく、そんな夢だった。
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    ninosukebee

    REHABILIオリオン座流星群に寄せて
    流星の夜 きん、ぽちゃ、からん。ころ。
     風も騒がぬ静かな夜に、いたく華やかな音を聞いた気がして、ジェホンはそっと目を開いた。薄目で引き寄せ確かめる置時計は、だいだい色の影に午前2時前を示す。56、57、58——、デジタルのカウントを眺めながら眠りの淵に落ちかけたとき、またぽちゃん、から。と鼓膜を揺らした音は、居間の方からするようだった。今夜はそこのソファを宿りにする人が、なにかしているらしい。ああそろそろ彼のためのちゃんとした寝床を用意すべきか、あの人はあそこを気に入って使っているようではあるが——。
     そこまでうつらうつら考えて、きん、ぴちゃ、ころん、いよいよ居間の様子が気になったジェホンはのそりとベッドを起き上がった。エアコンを入れるほどではないが、夜中になるともう家中めっきり寒くなる。寝起きの身体はわずか火照っていたが、すこし迷って、まだ片付けていなかった夏用のタオルケットを手にした。彼はちゃんと暖かくしているだろうか。薄っぺらい布を肩に羽織ってのろのろと廊下を歩く。タオルケットよりもポソンの方が必要だなと思っても、用意はまだどこにもなかった。居間の扉の手前、音は変わらずきらりぴちゃころ耳を騒がせている。
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    「あの、もしもし? 6330