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    ninosukebee

    @ninosukebee

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    POIPOI 23

    ninosukebee

    REHABILIオリオン座流星群に寄せて
    流星の夜 きん、ぽちゃ、からん。ころ。
     風も騒がぬ静かな夜に、いたく華やかな音を聞いた気がして、ジェホンはそっと目を開いた。薄目で引き寄せ確かめる置時計は、だいだい色の影に午前2時前を示す。56、57、58——、デジタルのカウントを眺めながら眠りの淵に落ちかけたとき、またぽちゃん、から。と鼓膜を揺らした音は、居間の方からするようだった。今夜はそこのソファを宿りにする人が、なにかしているらしい。ああそろそろ彼のためのちゃんとした寝床を用意すべきか、あの人はあそこを気に入って使っているようではあるが——。
     そこまでうつらうつら考えて、きん、ぴちゃ、ころん、いよいよ居間の様子が気になったジェホンはのそりとベッドを起き上がった。エアコンを入れるほどではないが、夜中になるともう家中めっきり寒くなる。寝起きの身体はわずか火照っていたが、すこし迷って、まだ片付けていなかった夏用のタオルケットを手にした。彼はちゃんと暖かくしているだろうか。薄っぺらい布を肩に羽織ってのろのろと廊下を歩く。タオルケットよりもポソンの方が必要だなと思っても、用意はまだどこにもなかった。居間の扉の手前、音は変わらずきらりぴちゃころ耳を騒がせている。
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    ninosukebee

    MOURNING『月の裏側に咲くひなぎくの下には』
    サンウクがいっぱい。月に囚われた男パロディ、SFジェホサンやおいSS(に収まらなかった)
    没供養、推敲できてませんごめんなさい
    基地を遠く離れたローバーに搭載されたナビゲーターは、先程から『サラン採掘地区外に出ます』としきりに警告している。しかしサンウクの隣でハンドルを握るジェホンは、ためらうことなく一心にローバーを走らせた。はたして通常活動区域を脱出したローバーはなにごともなかったかのように沈黙し、そこでようやくジェホンがアクセルペダルから足を離す。
    「ルナ社の月面管理区域を出ました。これで彼らに知られることなく地球との長距離間通信が可能です。さあ、どうぞ」
     ジェホンに促され、サンウクはおそるおそる携帯通信機器の電源を入れた。たしかめるように、ゆっくりと番号を打つ。指が覚えきっているそのナンバー、サンウクの育った孤児院、懐かしきグリーンホームを思って。震える指で最後のボタンを押す。数コールの後、若い女性の声が応答した。
    「はい、こちら児童養護施設グリーンホームです。ご用件をお伺いします」
    「あ、——」
     記憶にあるものより幾分大人びて聞こえたその声に、咄嗟に息が詰まるのを、サンウクは堪えられなかった。モニターに映った女性の顔にかつてともに暮らした少女の面影を見て、思わず画面に手を伸ばす。
    「あの、もしもし? 6330