お砂糖と素敵な何かでどこぞの店ですいーつふぇすた開催中である。
そんな人気店の個室を予約して、いそいそと満喫しにきたヴライ。
個室通路はこっちと、まっ青い顔の店主に裏口から通されたのは特に気にしない。彼にとって店主である小娘はいつも青い顔をしているので。
実は彼のうきうきする姿を見た客層が恐慌を起こして逃げそうだとかいう失礼な思い込みからくる
……まあ、逆に逃げられぬようにと言う店舗都合であった。
さて、甘い匂いが充満し、アフタヌーンティーというセットを机いっぱいに置かれ(一人で三人前)、完全に幸せそうなヴライの個室の戸が叩かれた。
「やっぱり。おいでだったのはあなたでしたか、ヴライ将軍」
「…今日の俺は休暇だ。」
「ええ、仕事ではありませんよ、あんまり甘い匂いが漂ってくる一角があったのでもしや、と。同席させていただいても?」
「…良いだろう、静かにしておれ」
ヴライの言い方はかなり不遜なのだが、幸せいっぱいな笑みがひくついて隠れてすらいない。
「……リボンとレースで飾ったら、今なら似合いそう……」
「貴様……」
ぼそりと呟いたエントゥアに、一瞬弱々しく殺気が向けられたのは、多分気のせいで。
はむはむと豪快に食べている彼を見て、にんまりと娘は笑った。