【ヴェラン】「運命は迷子を連れて」「ランちゃん、いなくなっちゃった……!」
ランスロットが商品の陳列を整えていると、金髪の男の子が真っ直ぐに走って来て、こちらを見上げながら訴えてきた。エメラルドグリーンの瞳が心なしか潤んでいるが、どうやら泣かずに頑張っているらしい。
休日のショッピング街は朝から賑わっていて、迷子も必ず出る。ランスロットは困った様子で走ってくる子供を受け止めると、視線を合わせて微笑んだ。
(自分から迷子を名乗れて偉いぞ!)
「得意は迷子」という幼馴染みのヴェインを思い浮かべながら、心の中で思う。
子供の頃のヴェインは気付くと迷子になっていて、「俺とはぐれたら、すぐに大人を頼ること」と何度も言い聞かせていた。そのお陰かこの男の子のように、ヴェインもすぐに大人を頼って最悪の事態を避けてきた。
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