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    eikokurobin

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    レニ/右爆/轟爆
    眠れぬ夜の小さな図書館

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    轟爆/弓バス/オメガバース風味

    #轟爆
    bombardment

    心配性の王子様『あ〜あ今日で部活暫く休みかァテスト週間だからって自主練も禁止なんて』

     だからって立てなくなるまで走り回ることねえだろ、と嗜めると回された手にキュッと力が入り、ごめん、どうしても完成させたい技があったからと言う。何も本気で怒っているわけじゃない、ただ心配しているだけだってことは勝己も解っているだろうに、

    『どうした、今日は元気ないな?』

     そんなことねェし!それよりもう歩けるから降ろしてという幼馴染にこのまま家まで送ってやるよと言うと、

    『今日はこれから図書館で勉強するんだ。チームの奴らに数学教える、うちの部活は赤点取る奴が1人でもいたら試合に出場できねェから仕方なしだ』

     そうか、それなら仕方ないな、なんて笑って言ってやれるほど俺は心が広くない。奴らって何人だ?何時まで掛かるんだ?

     一応3人、でも後2人クラスの奴も飛び入りしたいっていってたからもしかしたら5人、時間は2時間くらい?と首を傾げる勝己に、それじゃ俺も図書館で勉強してるから終わったら一緒に帰ろうと約束させた。

    +++

    『勝己、もしかして彼女出来た?珍しくスマホ気にしてるじゃん』

     そんなんじゃねーし、ただ焦凍が心配するから。

    (つーか、きっとこの光景何処かから見てるよな)

     学校の図書館の勉強スペースは各フロアにあり、吹き抜けからある程度見下ろすことが出来る。俺と焦凍はこの図書館で一緒に勉強することが多いし、そのキッカケはー

    思い出すと身体が熱くなって唇に触れてしまう。

     幼馴染の俺達はいつも一緒、あまり親と上手くいっていない焦凍はガキの頃からよく俺の部屋に来て一緒に勉強したり遊んだりしていたけれど、年頃になって互いに性に関心が出た14歳の夏、

     焦凍にキスされ、告白された。

     一度触れてしまうとタガが外れたように求めてしまう、それに男子中学生の性に対する関心はハンパない、俺も焦凍も夢中になってキスしたり、互いの性器を扱いたりフェラしたりした。それはそれでスゲェ気持ちイイし、美形な焦凍が良さそうな顔をするのが堪らなく好きだけれど、学生の本分は学問だ。だから俺達は隣同士住んでいるにもかかわらず勉強する時は図書館を利用し、その時間を図書館デートって呼んでいた、だから、

    (焦凍が機嫌悪くなるのも解る)

     2人きりじゃないのが幸いってところか。

    『爆豪さぁ、最近またエロい匂いが濃くなってる』

     バァカ集中しろや、

    『カツキはオメガだもんな、ヒートと関係なしにこんなに甘いとか、いつかアルファに襲われるんじゃね?薬じゃこの甘さは治まらないんだろ?』

    『薬を飲んでいればただ甘い匂いがするだけだわ、誘惑するほどの効果はねェ。大体ヒトの匂い嗅いでンじゃねぇよハズいだろ』

     …でも、正直今日はちょっと身体がヘンだ。体育館で倒れたのもただ疲れたからじゃない気がする。だから、もしも何か変だと思ったらすぐに焦凍に連絡できるようにスマホをデスクの上に置いて、こうして何処かから見張って貰っている、

    (例えどんなアルファに襲われたとしても、焦凍より強いアルファなんて居ねえから)

     物心ついた時からずっと一緒の俺の半身。気が早いかもしれないけれど、もう結婚の約束だってしている。後は結婚できる年齢になったらきちんと番にしてもらうだけ。

    『カツキなんで髪伸ばさないの?うなじ噛まれたら終わりっしょ?そんな無防備に晒してっと、俺でも噛めちゃうって、ヒッ…』

     ふざけて俺の首筋に手を伸ばしたチームメイトが急に血相を変えた、その理由はもちろん焦凍で、

    『焦凍、どっから現れたの?』

     5階のフロアを指差すけれどここは3階たぞ、2階分飛び降りて参上だなんてそんな王子様みたいな駆け付け方したら皆ビビるじゃん、

    『勝己、2時間経ったから迎えに来た』

    +++

    『全く、油断も隙もねぇ』

     そんなガンギマリな視線するなって言われても、するに決まってるだろう?俺の勝己に手を出そうとするなんて不届にも程がある。少しヘンだという勝己の身体をトイレであちこち点検しているうちに、この状態は薬を飲めなかった時に似ているというから尚のこと頭を抱えるしかない。几帳面な勝己が薬を飲み忘れることはまずない、ということは、誰かが薬を偽物と取り替えたのだ。もしや媚薬の類を飲まされたかと危惧したけれど、幸いそんな兆候は見られない。

    『きっと俺が発情したところを見たかったんだと思う』

     そんなさらっと言わないでくれ、お前、襲われすぎてそういうとこ麻痺してしてるぞ。

    『勝己は俺のモンなのに、これだけ俺のモンだってアピールしてるのに悪い虫が絶えないのは何でだ?』

    『そりゃ皆んなが焦凍のこと保護者だと思っているからだろ、焦凍は俺のこと心配し過ぎ。俺だってそこそこ鍛えてるんだ、1回や2回薬をスキップした状態で襲われたって余裕でぶっ飛ばせるぜ、っ、アッツ…!』

     話に夢中になって缶コーヒーで舌やけどをしたのだろう、舌を出させて舐めてやると、焦凍の舌はあっちぃから冷ます効果ないって言う勝己に、そうやってすぐ雛鳥みたいに無防備に舌を突き出すから舐められるんだと揶揄いながら、ふと学校でもこんな仕草をやっているのか気になってしまう。こういうのは無意識だもんな、きっとやっているに違いない。

    『お前猫舌なんだから気を付けろよ、いつも弁当に熱いスープつけてくれるだろ。あれ上手いけどスゲェ熱いもんな、

    …なあ、マジで不安になってきた、やっぱり昼飯一緒に食おうぜ』

     やだ、そしたら同じ弁当食べているのバレるじゃんって、ああそれなら大丈夫だ、クラスの奴には勝己の手作りだってもう言ってあるから。え、何で怒るんだ、勝己は料理も上手いし可愛いし優しい、俺の自慢の幼馴染だもんな。

     幼馴染で、恋人で、未来のお嫁さんで、俺の唯一無二の番、それが俺の勝己だから。

    『何それ肩書き多すぎンだわ』

     じゃあ勝己にとっての俺は何だ?

    『それはー』
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