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    Umi1115Tkso

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    Umi1115Tkso

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    UTAちゃんを幸せにしたい…。
    ワンピにわか初心者なんですが、どうしてもUTAちゃんを幸せにしたくて…

    UTAちゃん夢の中で生存説
    +
    ウタウタの実は超人(パラミジア)系
    +
    超人(パラミジア)系の覚醒は「能力者以外にも影響を与える」

    という情報だけで、これならUTAちゃん外の世界にちょっとは干渉できるのでは!!ねぇ!!となって書いた。
    多分間違ってるとこあると思いますが、お目溢しください。

    #OP
    #UTA

    夢の世界からどこまでも続く青空を写す水面。

    ここには私の歩く音しかしない。

    それでもこの声は、まだ誰かに届くから。

    「目覚めたまま見る夢、」

    伸びゆく音が風に流れて、広がってゆく。
    空が一段と高くなった。

    ----------

    『ねぇ、UTAって知ってる?』

    小学校で流れる噂話。

    辛い時、苦しい時、UTAの歌を歌うとUTAが迎えに来てくれる。
    辛い事も、悲しい事も、苦しい事も何にもない世界で、幸せになれる。

    そんなおとぎ話。

    がしゃん!と鳴る音に頭を抱えて小さなクローゼットで震えた。
    外で大人が何人も何人も走り回って、お母さんの泣く声が聞こえて。
    それでもわたしは、ここから出られない。

    『お願いします!もう、うちには何にも…』

    言い終わらないうちにはお母さんの悲鳴が聞こえて、お父さんが呻く。

    わたしは毎日、この音が聞こえなくなるまで耳を塞いで震えるしかない。

    静かになって、お父さんがこの扉を開けるまで。

    ぼろぼろになったお父さんに涙が出てしまう。
    それでもぎゅっと抱きしめてくれる腕に縋ってしまう。

    辛い時、苦しい時、UTAの歌を歌うとUTAが迎えに来てくれる。
    辛い事も、悲しい事も、苦しい事も何にもない世界で、幸せになれる。

    そんな事が出来るなら。そんな世界があるんなら。私にとってそれはただのおとぎ話じゃすまない。

    「どうして あの日遊んだ海のにおいは」

    海賊が来るまで、夜は静か。
    そんな日は歌を歌う。

    わたしの知ってる曲は1つだけ。

    おとぎ話に縋るように、何度も、来る日も来る日も。

    「信じられる?「信じられる」」

    あの星あかりを、と重なる声に目を開けた。

    そこは空が写る水の上で、かわいい音符の上に座る、綺麗なお姉さん。
    お姉さんは優しい顔で笑って、こんばんわって言った。

    「う、UTA?」
    「うん、UTAだよ」

    ようこそ、と笑う顔が滲んでいく。
    おとぎ話は本当だった。
    わたしは、UTAの世界に来れたんだってそう思って。

    溢れる涙は水面に落ちて広がった。
    UTAは私に近よって、しゃがんで、よしよしって撫でてくれた。

    「辛かったね。でも、今は大丈夫。ほら、歌おう」

    新時代は、とUTAの声が響く。
    知らない曲をいくつも歌う。
    きらきら光る雫をすくって、なげると虹がかかった。

    UTAはいっぱい歌を教えてくれた。
    UTAが歌う度、楽しいものがいっぱい出て、悲しい事が段々なくなって、キラキラした世界がそこにあった。

    「UTA、わたしずっとここにいたい」

    でも、わたしがそう言った時、UTAは困ったみたいな顔で笑って、また頭を撫でてくれる。

    「ううん。大丈夫。貴女は強いから」

    手を貸して、って言われて差し出した手に、UTAが丸を2つ、真ん中に線を書いて、UTAとなぞった。

    「おまじないを教えてあげる。お家に音楽が流せるものはある?」
    「…あるよ。こっそり隠してる」
    「そっか。じゃあ、今度困った事があったら、それにこのマークを描いて、私を呼んで」

    出来そう?と聞くUTAは優しくて、思わず、うん、って頷いた。

    よし!と立ち上がるUTA。

    「じゃあ、帰ろうか」
    「え、やだ、わたし、ずっとここに」
    「だめ。でも大丈夫。私はずっとここに居るから」

    また、来てね。おまじない、忘れないでね。

    そう言って笑ったUTAがどんどん遠くにいく。
    真っ暗になっていく世界が怖くて、やだって泣いてしまった。

    はっと目を開けると、またあの声と、音。

    怖い。お父さんがげほげほって咳をするのが聞こえる。
    お母さんがやめてくださいって泣くのが聞こえる。

    「やだ…助けて、UTA…」

    怖くて、それでも必死におまじないを思い出した。
    クローゼットに隠してたプレイヤー。
    そっとマークをなぞって、祈るように助けて、とUTAを呼ぶ。

    ぱぁっとマークが光ると、何もセットしてないプレイヤーが大きな音を出した。

    「さぁ、怖くはない。不安はない。私の夢はみんなの願い」

    大きな音に海賊が近寄ってくる音が聞こえる。
    でも不思議と不安な気持ちにならなかった。

    がちゃりと開いたクローゼットの扉から怖い顔が見えたのは一瞬で、その人は、そのままふらりと後ろに倒れた。

    ----------

    「何だここは!おい!お前ら!起きろ」

    海賊の1人が目覚めて慌てて仲間を揺り起こす。

    どんな人でもここに来たならお客さんだから。
    私はにこやかに微笑みかけた。

    「貴方達があの子を困らせてる海賊?」
    「何だお前!俺たちに何をした!俺が誰かわかってやってんのか!」
    「うんうん。怖いよね。でも大丈夫。私と1つだけ約束してほしいだけなの。」

    もう、人を襲うのはやめて。

    そう言いつける私を見て、きょとんとした後、弾けるように仲間同士で顔を見合わせて笑いだす。

    人を見下すその態度は、悲しいかな見慣れたものだった。

    「そう。わかって貰えないか」

    じゃあ、わかるまで歌うしかないね。
    そう言い放つと、前奏がかかる。
    小気味のいい音に身体を揺らして、手を叩く。

    「散々な思い出は悲しみを穿つほど」

    響く音に合わせて拘束される海賊。
    その1人が叫んだ。

    「これは、お前はっ…」

    UTAか!と畏怖の響きで呼ばれる名前。

    「うん。UTAだよ」

    ようこそと笑う。
    今日は、私のお願いをわかってもらうまで帰らせない。

    真っ青になる海賊を尻目に次の曲を歌った。

    ----------

    あの日、海賊は目を覚ますと泣きながら帰っていった。
    船に乗って、街から遠ざかるのを見て、街の人がみんな手をあげて喜んで。

    わたしは、UTAの印の入ったプレイヤーをぎゅっと握ってありがとうと呟いた。

    見上げた空が青くて、綺麗で、きっとUTAにも届くような気がした。

    ----------
    『ありがとう』

    そんな声を聞くたびに、心が跳ねる。

    「信じられる。信じられる」

    夢の続きで共に生きよう。

    私の歌が世界を救えるなら、微力でも、尽力しよう。

    この歌が、知らない誰かを守れるように。

    そう願って、今日も私は歌を歌う。

    -夢の世界から-
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    夢の世界からどこまでも続く青空を写す水面。

    ここには私の歩く音しかしない。

    それでもこの声は、まだ誰かに届くから。

    「目覚めたまま見る夢、」

    伸びゆく音が風に流れて、広がってゆく。
    空が一段と高くなった。

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    『ねぇ、UTAって知ってる?』

    小学校で流れる噂話。

    辛い時、苦しい時、UTAの歌を歌うとUTAが迎えに来てくれる。
    辛い事も、悲しい事も、苦しい事も何にもない世界で、幸せになれる。

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    がしゃん!と鳴る音に頭を抱えて小さなクローゼットで震えた。
    外で大人が何人も何人も走り回って、お母さんの泣く声が聞こえて。
    それでもわたしは、ここから出られない。

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