無題「っ」
「何」
「なんで っ」
「いおあ」
「もう やめて」
猿にしか見えなくなった。
だが、本当は。猿に失礼だということも分かっている。よほど猿の方が世界にとって、価値があるだろう。
そもそも、もはや、彼らを何かと比較しようとすること自体、その比較対象に対して失礼である。何もないのだ。この命には。何ら価値はない。意味はない。意義はない。どうしてこの世界に、これほどの人数でのさばっているのか。もはや分からない。
どうして生まれてくるのか。所詮、死ぬしかないこの世界で。死ぬために生まれてきて、何がしたい。どうありたい。どんな存在として価値を発揮しようとしている。
ただ呪霊から呪術師から守らなければ生きていけない命。己の力で生きていくことすら出来ない分際で、なぜ生きたいと思うのだ。それすら烏滸がましいということに、なぜ気づいていない。
1962