9巻軸監禁武ヒナ黒く染まった手で愛しい人を汚してしまうことは、何という罪に問われるのか。日向の頬を撫でながら武道はタバコを蒸した。
どうしてこうなってしまったのか。それは今刑務所に入っている龍宮寺の言葉あってだ。
「オマエ、ヒナちゃんだけは大事にしろよ」
今思えば、あれはもう二度と守れなくなった初恋と、大切な親友が手を染めるのを見ていることしかできなかった罪悪感から、まだ何も失っていない武道に希望を託したのだろう。たとえ暗闇の中にいようとも、誰かを守ることはできるなんて絵空事を。
数日後に逮捕されたと聞いて、ぼんやりと頭の中で考えていたことが形を成して武道の脳を支配した。
龍宮寺ですら愛する人を守れなかった。だったら流されるだけの自分にどうやって最愛の人を守れるのだろう。別れてから一度だって日向のことを忘れたことはない。たとえそばにいれなくとも、日向が笑って幸せになることが武道の願いだ。
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