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    konja9noodles

    @konja9noodles

    20↑/成人済み/趣味垢/腐/妄想/GKM/杉尾/sgo/

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    konja9noodles

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    Twitterの sgo1000に投稿させて頂く為に、書いたけども1000文字のところ4000千超えたので供養
    sgo現代DDパロ。出来てない。尾が尾トメン。

    #杉尾
    sugio

    恋を止めた日 ここは地獄か。
     騒々しい店内でアルコールで炙り出された人間の欲が溢れて頭がクラクラする。
    そんな場所にのこのこ着いてきた俺が一番欲に塗れていて馬鹿らしい。

    「愛してる」

     簡単に紡がれる陳腐な言葉も。

     一次会から二次会に流れ、何度帰ろうかと思ったがあいつ(杉元)がいつもよりも酒に酔って強い力で引き留めるからおめおめと着いてきてしまった。
     そもそも白石主催の飲み会という名の合コン紛いに来ているのも、杉元がいるからだ。
     あいつはバイトに明け暮れいつも金が無く、ただ飯ならという理由でのこのこ着いていくやつだ。
     自分を餌にどれほど女も男も引き付けているのか分かっていない。
     釣られている一人が俺なんだが。

     そんな餌に懇願されれば、緩んでいつでも振り払える腕に引っ張られたまま仕切りで区切られた簡易な座敷でチビチビと酒を胃に流し込んでいる。
     引っ張った張本人は女たちに言い寄られいつの前にか対角線の向かいの席という一番遠い場所にいる。
     帰りたい。心底帰りたい。
     いつの間にか「愛してる」ゲームというお遊びが始まっていた。
     隣のやつに愛している。と言われた方が恥じらいや笑ったり、もしくは言った方も照れたりしたら負けらしい。
     言われたやつが「もう一回」など返事を返し、どちらかが崩れるまで勝負が続く。
     白石が顔を作って女子に言っているが笑いが起こりすぐに隣に回る。白石は不服そうだが。
     杉元が女に囁かれ、はにかみながらも爽やかにありがとう。と返し女子たちの悲鳴で杉元が逆隣の女に「愛してる」と囁けばまた悲鳴が上がる。
     杉元から俺には一生言われない言葉だろう。心臓のあたりがじくじくする。
     きつく握りしめていた手を隣の女の手が添えられ、上目遣いで「愛してる」と囁かれた。
     いつの間にか順番が回ってきていたらしい。
     じっとその綺麗にあがったまつ毛を見つめながら口角を上げると女の目が酒のせいか潤みだし顔を覆い「降参」と言って終わった。酔い過ぎではないのか。
     自分の番か、と逆隣の女に言わなくてはいけない。白石を見るとお願い。とポーズをとられている。
     しょうがなく頬杖をつきながら逆隣の女に「愛してる」と無の感情で呟いたが「無理!」とさっきの白石の祈りのポーズを取られた。流行っているのか。
     一周した辺りで女子たちの不満が出た。隣の人限定はずるいと。
     そこで席替えが提案され、くじが即席で作られ余ったくじを渡された。
     幹事が机に適当に番号を置いていき、同じ番号に席替えをするようだ。
     目の前に置かれた番号と手にぐしゃぐしゃになっている番号は同じで、慌ただしく人が動き回るのをチビチビと酒を流しながらボーっと見ていた。

    「尾形」

     残酷だ。
     隣に腰を下ろした相手は杉元だ。
     お前はゲームでしか言うも言われるも許されないという事だろうか。
    「ちょっと飲み過ぎじゃない?」
     杉元の熱い手が俺の頬を撫でる。余計に顔が熱くから止めて欲しい。
    「…だいじょぶ…、」
     その手を掴むが力が変に入り握りしめてしまった。
    「いや手とかお前にしてはすごい熱いだろ」
     握ってしまった手を杉元が更に両手で握ってくる。
     お前の熱で熱さなんて分からねぇよ。
    「1番。あ、じゃぁ尾形ちゃんから時計回りね」
     握りこまれている手を握られているな、俯瞰して手を眺めていたが名前を呼ばれた気がして、声の出元を見遣ると白石が「ゲーム」と口元が言っている。
     ゲーム?ゲーム。そうか。これはゲームか。。
     未来永劫本当の気持ちなんて言うつもりが無かった。
     でもこれはゲームだから。言っても良いってことだ。

     何故か未だに握られている杉元に向き直り胡坐を掻いている足を跨ぎ太腿に尻を乗り上げる。
     杉元のはちみつみたいに甘い瞳が大きく見開かれ俺だけを見ている。悪くない気分だ。
     空いている手で唖然のしたいるのに精悍さが崩れないその相貌に横に横断する傷跡を人差し指の腹で撫で辿り、更に見開かれた目の下から唇に繋がる傷跡を愛しく思いながら撫で下ろした。
     触れた唇から指を掠めた息がやけに熱く感じる。その下唇を親指で辿り意外と柔らかいんだな、と感心する。

    「杉元」

     この先一生言わないし、望まないから。
     ゲームっていう理由をつけて言わせて欲しい。

    「愛してる」

    「っ……っ~~~」

     白くはないその健康的な肌が首から額まで湯沸かし器のように真っ赤に染まった。
     杉元の表情が面白くて思わず息が漏れる。
     その顔が見れただけで何処か胸がすく。
     ゲームだとしても杉元の感情を揺さぶれたなら御の字じゃないか。

    「っ!、 なにっ、」
     ゲームは終わったと、杉元の膝から降りようと腰をあげようとしたが未だ掴まれていた手を引かれ身体が前のめりになり杉元の顔面が近づく。

    「おれも…っ、愛してる…っ、」

    「――――っ、」

     真剣というより人を殺さんばかりの必死な顔に心臓が一突きされた。
     俺が思いの丈をゲームに乗せて告白したから罰が当たったのか。
     欲しいとすら願ってはいけない言葉がゲームに負けたくないという、意地で簡単に紡がれるなんて残酷すぎる。
     早鐘を打つ胸がそのまま鳴りすぎて爆発してはじけ飛ぶのではないか。
     嬉しいのに悲しい。ぐちゃぐちゃな感情で数十年動いていなかった涙腺が緩みそうだ。
     
    「ちょっと~二人の世界に入ってないで次回して~」
     斜め前に座っていた白石に机をコツコツと叩かれハッとすると何とも言い表せない空気になっていた。
    「……お前の負けだ杉元、」
     今度こそ杉元の手を剥がし何事も無かったように身を起こす。
    手も尻も距離感さえ突然熱を奪われ寒さすら感じる。
     足元がふらつく。飲み過ぎた酒のせいかゲームだとしても好きなやつからの言葉はこんなにも腰にくるものなのか。
     激しく叩く心臓が痛い。
     ゲームだとしても他のやつに愛してるなんて言うも言われる杉元の姿がきつ過ぎて、べんじょ、と呟き数十分トイレに引き籠った。
     もうそろそろ戻らないと、とトレイを出ると白石にかち合う。

    「あ、もうお開きにするんだけど、尾形ちゃん具合大丈夫?」
     お開きという言葉に胸を撫でおろす。
    「……ん、」
     鞄から財布を取り出し五千円を白石に押し付け、場に戻ることなく店の出入り口に向かい、靴箱から靴を取り出す。
    「…あ~……、」
    トイレに籠っていたがふらつく足はマシになった程度で下を見るとグラグラする。
     もう良いかと踵を踏みつけて足を無理やり踏み出す。
     店を出ると丁度降りてくる客と入れ替わりにエレベーターに乗り1階を押す。

    「尾形!」
    「っ」

     杉元が店から飛び出すように出てきて閉まりかけていたドアを大きい音を立てて押さえつける。
     びっくりし過ぎて閉まるボタンを連打してしまった。
    「いだだだだっ ちょっ、なんで閉めるの」
    「……いや、びっくりして……、」
     開けかけたドアは杉元の身体を打ち付けるが、痛がりながらも杉元はエレベーター内に身をねじ込み今度こそ扉が閉まる。

     エレベーターの機械音とは違う陽気な音が室内に響く。
     
    「……携帯鳴ってるぞ、」
    「うん」

     俺の携帯じゃないからこの室内にいるのは杉元と俺だけだから杉元のだろう。
    出るのかと携帯を手にした杉元はしばらく画面を眺め、再びケツポケットに捻じ込む。

    「…………」
     良いのか。それ白石か今日の女じゃねぇのか。
      口を開こうとしたが、エレベーターはすぐに1階へと到着していた。

     火照っている身体には丁度良い。と思う外気に足を踏み出すと杉元に腕を捕られる。

    「…なんだよ…、」
    「こっち」
     真剣な横顔に掴まれた腕を振り払う気も起きず、引きずられるように入り組んだ路地裏を進んでいく。
    何度か角を曲がり、油臭い換気扇を通り過ぎ行き止まりようやく足を止める。

    「すぎもと…、」
     良いのか、お前狙いの女を放っておいて。
     それともゲームだとしても、気持ち悪い。と文句をつけに来たのだろうか。
     広い背中を眺めていたが突然振り返りさっきみた殺さんばかりの目に射抜かれる。

    「さっきの…っ、おれは本気だから…っ、」

     何を言っているのか。
     さっきのとは。

     何の事だろうと思案していると掴まれていない片方も腕を掴まれ正面を捉えられ引き寄せられる。

    「あい…、す、好きだ!尾形…っ、」

     何を言っているのか。ゲームに負けたのがそんなに悔しいのか。これ以上ズタズタにするのは止めてくれ。
     引っ込んでいた涙腺が再び緩みだす。感情が制御しきれない。
    「……っ、やめろ…っ、」
    「え、…、泣いてる? そんな嫌だった…、」
     まだ涙は出ていない。瞬きさえしなければ涙が流れていないはずだ。
     俺が真実を口にしてゲームに託けたのがそんなにいけないことだったのか。

    「俺の負けで良いから、もうやめてくれ…、」

     収まり切らない涙が震える瞼から零れる。
    「まけってなに?惚れた方が負けってことなら俺が負けてる」
     なんなんだ。惚れた方が負けって。それなら俺の負けだろ。どんだけお前に惚れてると思ってんだ。
     トレードマークの襟巻で顔を拭われるが、そう簡単に止まるならとっくに止めている。
    「そんな嫌だったなら謝る。でも、ずっと尾形が好きだった。ゲームだって分かってたのに尾形から貰える言葉が嬉しすぎて思わず本音が出ちまった…、」
     悲しそうに八の字に歪られ戸惑いを見せる杉元に違和感が出る。
     ぐちゃぐちゃになった感情が少し冷静になってくる。
    「…ゲームだろ…?」
    「あれはゲームだったよ。でも、俺は本気だ。」
     なんだ、話が噛み合わない。
    「そんなにゲームに勝ちたいのか…?」
    「え??まだゲームだと思ってたの」
     驚愕に見開かれる杉元の表情に勘違いしそうになる。

    「……、じゃなきゃお前が俺に愛とか好きとか言うわけないだろ、」
     ぎゅう、と心臓がつぶれる気がした。自分で言ってて自分で悲しくなる。
     それなのにお前は嘲るでもなく、切なそうに顔を歪めたかと思えばその目に光を宿す。
     俺が惚れた男は嘘でも冗談でもこんなしつこく人を陥れようとする男なはずがない。

    「俺が本気で愛してんのも好きなのもお前だよ!信じろ尾形」

     そんなことがあるのか。
     そんなことがあっていいのか。

    「愛させてくれよ…っ、」

     きつく抱きしめら背中が軋む。
     この苦しすぎる抱擁を冗談で済ませたら訴えるぞ。

    「…聞こえない、」
    「え……、」

     身体を離されそうになり、その広い背中を抱き寄せる。

    「あと百回は言われねぇと聞こえねぇよ杉元…、」
    「……っ、何回だって言ってやるよ、愛されろくそ尾形、」

     止まらないと思っていた数年ぶりに流した涙はうれし涙に変わっていた。


     



     片恋を止めた日。
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    hisoku

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