付き合って別れて復縁するたいみつ 付き合おっか。
茹だるような猛暑日の夕方、クレープ屋の店舗脇、陽の陰った軒下で、口元にクリームをつけたままにそんな馬鹿げたことを言ってのけたのはお前だった。忘れもしないさ。きっと永遠に覚えている。
あの日はそれから散々な夕立で、二人してずぶ濡れになって道路を走った。下着まで濡れたところで、たどり着いた先は俺の家だった。別に誘い込んだわけではない。あいつの家より俺の家の方が近かったというだけ。
広いばかりでほとんど有効に活用されていない家に上がり、ずぶ濡れだったからそのまま二人でシャワーを浴びた。肌に張り付いた服は自分一人じゃまるで脱げなくて、腹が立ったから引きちぎってやろうかと思ったが「服を粗末にすんな」なんて至極真っ当なことを言うあいつに止められてしまった。その代わり、とでも言うように、あいつは俺の服の裾を持って、それから墨の入った肌を指先でなぞり「オレが脱がしてあげるね」なんて言って笑った。
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