目が覚めて最初に見えたのは愛しい貴方でした夏の暑い日の朝。
自室の冷気を放つ音機関のお陰で、深い眠りについていた。そんな時、コツコツと足音と共に気配を感じた為、脳が覚醒した。しかし、まだ眠りたくて目を開ける事はしなかった。
シャッ
そのまま目を瞑っていると、カーテンの開ける音が聞こえると同時に眩しさを感じ、目をギュッと瞑った。
「起きな。もう朝だよ。ぐずぐすしてないで行動するんだね。」
優しい声が聞こえた為、目をゆっくりと開けると、そこにはこちらに手を差し伸べている愛しい恋人の姿があった。
「おはよう…シンク…」
目を擦りながら差し伸べられた手に触れる。それだけでも幸せな気持ちになり、顔が綻んでしまう。
「…何?まだ寝ぼけているの?」
「違う…。朝からシンクに会えて、触れられて幸せなんだ。」
そう言い、ふんわりと笑うとシンクは「…バカなやつ」と小さく呟き、俺の背中とベッドの間に手を入れ起き上がらせてくれた。触れられた背中が暖かい。
「ありがとう…。」
「別に…。アンタが起きないと困るしね。」
そう言い口をへの字にし、そっぽ向くシンクに少し笑ってしまった。普段は凄くかっこいいが、こうしてたまに見せる可愛らしさにキュンキュンしっぱなしだ。そう思っていると、ふっとシンクが俺の髪に触れた。
「ねぇ、寝癖ついてるよ」
「えっ!?嘘だろっ!?」
見られた事に恥ずかしくなり俯くと、優しく髪を撫でてくれた。
「別にアンタの寝癖なんて、いつも見てるから気にしなくていいのに。」
フォローの言葉が痛いぞ、シンク…。
「で、いつまでベッドにいるつもり?」
「わ、悪いっ」
我に返す言葉に慌てて、立ち上がる。今日はシンクと出かける予定があるんだった。
「じゃあ、ボクは自室で待っているから」
支度しようとすると、気を使ってか部屋を出ようとするシンク。ふっとその足が止まり、こちらに振り向いた。
「どうしたんだ?」
「忘れ物。」
そう聞こえると同時に唇に柔らかい感触を感じた。それは一瞬の出来事だった。
「おはよう、ルーク。ゆっくり支度しなよ。じゃあね。」
手を振り部屋を後にするシンクを見ながら、俺は顔を赤くしながらその場に立ち尽くしたのだった。