夏の楽しい一時をアンタと「ねぇ…ルーク。今度夏祭りがあるのだけど、一緒に行かない?」
先日、外出していた際に夏祭りのチラシを見つけた。折角の機会だ、ルークと出かけるのも悪くないだろう。そう思い話しかけるとルークは目を輝かせながら、行きたいと返事を返してくれた為、内心ほっとした。
「なぁなぁ、折角だから浴衣着て行かないか?」
確かに夏しか着れないし、良い案かもしれない。
「いいよ。そうしようか。」
いつか着るだろうと思い、お互いの浴衣を購入したばかりだった。
こうして、夏祭りデートが決まった。
*
「おぉ、凄いな!!」
夏祭り当日。
浴衣に着替えてルークと共に会場に来てみると、そこにはたこ焼き、射的等、沢山の屋台が並んでおり、賑やかな雰囲気が出ていた。辺りに人が沢山いる。
「なぁなぁ!どこから行く?」
「ルークが決めていいよ。」
そういうとルークは顎に手を添えて少し考えた後、「暑いし、かき氷が食べたい」と言った。早速、かき氷屋に行き、それぞれの色のかき氷を購入する。早速食べてみると、冷たい感覚の中に甘いシロップの味を感じた。あまり甘い物は好まないが,たまにはいいのかもしれない。
食べているとルークに声掛けられた。ルークの顔を見るとルークは舌を出していた。その姿に一瞬何をしているのだろうと思ったが、よく見ると舌が緑色に染まっていた。その姿に何故か嬉しさと笑いが込み上げてきた。思わず声を出して笑うと、ルークがニカッと笑った。
「シンクも赤い色になっているぞ」
その言葉に鏡を出して確認すると、確かに舌が赤く色付いている。
「…お揃いだね」
何だか悪い気はしなかった。こういう遊びも案外悪くないのかも知れない。
それから花火が打ちあがる時間まで、屋台巡りをして楽しんだ。
*
そろそろ花火が上がる時間だ。よく見える位置に移動し、その時を待った。
ドーン
大きな音と共に煌びやかな花火が空に打ちあがる。暗闇の中に広がる光の華。それを真っ直ぐ見つめた。ふっとルークの方を見ると、花火を見ながら涙流していた。
綺麗だ…。
その姿に思わずそんな言葉が出てきた。そんなボクに花火に夢中になっているルークは気づいていない様子だった。気づかなくていい。ボクは改めて打ちあがる花火を見つめた。
*
最後の花火が打ちあがり、祭りの時間が終わった。二人で帰り道を歩く。楽しい時間は本当にあっという間に感じる。鈴虫が鳴く声だけが遠くから聞こえた。そんな中ふいにルークから声を掛けられた。
「また来年も来ような」
「…考えておく」
素直に言えないボクを見て、ルークは楽しそうに笑った。
祭りには沢山の祈りが込められている。
ボクが祈っていいのなら、ルーク、アンタの幸せを祈るよ。