恋蛍 『鳴く蝉よりも鳴かぬ蛍が身を焦がす』とある夜。1人でそっと星を眺めていた。
目を閉じると思い出すのはいつも君の姿。
初めて会ったとき、目を奪われた。
僕と同じ髪の色、同じ顔。
でも違うように見えたんだ。
君はとても美しかったし、輝いて見えた。
傷だらけな僕とは真逆だった。
気が付いたら、いつも目を追っていた。
触れて欲しいと願ってしまった。
傍に居て欲しいと願ってしまった。
…そんなの望んではいけない事なのにね。
だからか、君から好きだって言われて、
少し嬉しい気持ちになったよ。
でも僕は…君に対して何も出来ないから、
その気持ちに応えられない、ごめんね。
……君に迷惑かけたくないしね。
それに気を使ってくれているだけだと思うから。
いっそ君の心が見えたらいいのになって考える。
そうしたら、こんなにも悩むこともなかったのかな。
一緒に…居ていいの?
望めば望むほど胸が苦しくなっていく。
それなのに君の事を嫌いになれなかった自分が居た。
公共マップで優しい表情でサバイバーと話す君。
その姿をそっと少し離れた場所で見ていた。
それで良い。それが一番良いんだよね…。
そう思っているのに…。
なんで僕は泣いてるの。
届くはずがないんだ。
望んでいいはずないんだ。
君と僕は、同じだけど違う存在。
全てにおいて違いすぎる。
それなのに同じ気持ちなんてなれるはずない。
なれるはずがなかったんだ。
最初から分かり切っていたはずなのに。
もういいかな…。
…まだ決心がつかない。
もう…いいよね…。
教えて欲しい。
君は本当は僕の事どう思っているの?
答えを望むほど、辛くなっていく。
「いっそ、全て嫌いになれたらいいのに」
そう思うと、涙が止まらなくなるのはなんで…。
役たたずな僕が、側にいて良い訳ない。
分かっている、分かっているよ。
分かっているはずなのに…。
どうしてこんなにも苦しいの。
辛いよ…、いたいよ…。
君の気持ちが知りたい‥…。
だけど…。
(知るのが怖い)
こんなにも辛いなんて知らなかった。
苦しい、苦しいよっ。
涙が…止まらないよ…。
…ねぇ、イタカ。
((君のことが…))