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    mituguu

    @mitu_25pupu

    20↑|🔞腐向け小説を書く文字書き|アクナイ銀博♂︎中心|完成版は支部にて↓
    支部→ http://pixiv.net/users/61591271

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    mituguu

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    【銀博♂】銀灰が好き過ぎて思考がぐちゃぐちゃな博の話|銀灰氏が妻子持ち(しかもふたご)というガセネタを聞いて気持ちをシャットアウトしてしまう暗い雰囲気|中途半端で、まとまりない話で申し訳ないです

    #銀博
    silverberg
    #アークナイツ
    arkKnights
    #腐向け
    Rot

    意味のない事など、この世にない。試練とは乗り越えられる者にしか与えられない。
    文字にしたり言葉にしたら、なんと甘美なのだろうか。
    だが実際には、この世には意味のない行為があり、ドクターの前にはソレが試練としてのし掛かっている。
    『恋』
    ありもしない心という名の内臓を熱くし、また冷えさせる。一般的に恋とは甘くて美味と認識されているが、そんな上手い話じゃない。
    相手がシルバーアッシュだからなのかもしれないが、この恋路はドクターに試練の壁としか見えてないのだ。
    分厚い真っ黒な壁で目の前をさえぎられた閉塞感。苦しくて辛くて、惨めで悲しい壁。
    自分は指揮官で、男なのに。
    どうしてかシルバーアッシュに抱かれる事を望んでしまう。
    綺麗な顔と同じ指先で内部を愛撫され、整った唇で胸を食まれる。身体を曝かれて、辱めを受ける夜を望んでしまう。
    性別を誇示する気はないが、男性としての機能を放り投げられて、イカされ続けるのは身体の中のナニかを奪われてる気がしていた。
    そうして空いたスペースに、擬態した愛情を埋め込まれる。
    『盟友』
    情事のあと、柔らかく髪に触れられて名を呼ぶ声は甘い。
    本当はもっと一緒に居てほしいと、指先に触れて強請りたくなる。でもそんな事をしたら、恋という壁が迫ってきて更に居住環境が狭くなりそうだ。
    シルバーアッシュしかいないワンルームで、膝を抱えうずくまっている。頭上を見上げたら、眩しくて直視できない。
    だから俯いたり、視線を反らしたふりして見ている。
    シルバーアッシュは特別に失うものはなく、常に優位にたっているのが腹立たしい。でも、その強気に折れてしまうのも自分。だから嫌気がさしてしまう。
    正気に戻った瞬間に、とても恥ずかしくて苦しくなり悲しい。この関係性が永遠ではないと分かっているのもある。
    子供を授かるとか、結果がない行為。ひとこと『意味がない』そう言われてしまえば終わり。
    全てはシルバーアッシュの手のなかにある。
    気分次第で行く先が決まる恋なんて、試練の壁以外なんと思えば良いのだろうか。



    テーブルの向こう側にはシルバーアッシュ。応接室にケルシーと詰め、三人で話をしている。
    黒いテーブルの上には写真が数枚とコピーしたネット記事があった。記事の内容はシルバーアッシュに妻と子供がいるというもの。
    奥さんは同じフェリーンで子供は双子の男の子。年齢は三歳。
    見た目がシルバーアッシュに良く似た子だと記事にあり、すぐに納得してしまった。この見た目だから、それは可愛い子だろう。

    妹のプラマニクスとクリフハートも愛らしい見た目をしている。
    しかも奥さんは名家の出自で、自分に良く似た双子の可愛い子供がいます…落ち度なんて何もない。
    「―という事は、記事の内容が虚構と受け取って良いのだろうか」
    「そうだ、このような事実はない。記事の出た先に競合元の会社がある事も確認している」
    真横に座るケルシーがドクターの太ももに軽く触れた。
    「そういう事らしいが、ドクター。君からは何かあるか」
    「なにか」と呟いて記事のコピーから顔を上げた。
    ふとシルバーアッシュの銀色の瞳とかち合った。
    気がつかなかったけれど、正面からずっと見つめられていたらしい。
    (…間違えた)
    この時ドクターはシルバーアッシュの存在は壁じゃなかったんだと思った。閉塞感のある試練の壁だと一人で大騒ぎしていたら、実際には何もない深淵が広がっていたようだ。
    シルバーアッシュには必要ない存在の自分、所詮はただの闇でしかない。
    ワンルームに座っていたところを想像していたが、本当はただの暗闇に居ただけなんて…情けなくなる。
    「特にないかな―」と少し考えた素振りをして答えた。質問をしたところで事実は変わらないだろうし。
    シルバーアッシュは優雅な動作で、こちらに手を広げた。
    「盟友には隠し事をしていたと思われたくない。完全なるフェイクだと、此処で訂正させてもらいたい。それにロドス側にも迷惑をかけたくないのだが」
    隠し事、フェイク。どれもシルバーアッシュが白だと決めてしまえば白くなる。
    本当は家族がいても、フェイクでコレは白だと言い切れば通ってしまう。
    迷惑をかけたくないのは、ロドスでもドクターにでもなくて自分自身なんだろうと感じる。
    誰でも自分が一番可愛いものだ。すき好んで、取引先の陰気な男に惚れる訳はない。
    (…あぁ、私って馬鹿だなぁ)
    身体の隙間に、事実という冷たい風が染みこんでくる。
    どう話して良いか悩んで眠れなかったり、シルバーアッシュに会う前は念入りに風呂に入っていた。
    なにもかも馬鹿みたいだ。
    所詮ドクター自身も、シルバーアッシュが好きだという自分が可愛かっただけ。
    恋している自分が眩しいから、必死にしがみついて踊っていたんだろう。
    「取材などは基本的に断っている。SNSにある攻撃的な内容やフェイクなどは確認しているが、こちらから対応をする訳ではない」
    「私宛てに問い合わせが来る可能性もある。その時は是非、報告してもらいたい。此方で対処する」
    シルバーアッシュとケルシーの間で話し合いが進んでいた。傍観しながら、シルバーアッシュを正面から眺めてみる。
    整った鼻筋に、すっとした鋭い目。きらめく銀色の髪に、同じ色の長い睫毛。
    やっぱり綺麗だなと思う。似合う似合わないの問題じゃなく、同じ土俵に上がってはいけなかった。
    いまさら気がついたのかと、惨めすぎて笑いたくなってしまう。
    「…盟友?」
    「ドクターなにかあるか」とケルシーに促されて、笑いを堪えきれなかった。
    「今日は二人とも、よくしゃべるんだなぁと思って」
    しんと応接室が静かになった。
    「そうか」と沈黙をシルバーアッシが破る。そして前のめりになっていた身体を、ソファの背もたれに預ける。
    「心配いらなくても、ドクターはこの調子だ。記事に関してなにか動くことはない。ドクターも我々も、同じ気持ちでいる」
    話はこれで終わりとばかりに、ケルシーは目の前に散らばった書類を正した。
    「…それは良かった。なにも心配はいらないようだ」
    目の前にいるシルバーアッシュは、ドクターを見据え尻尾を僅かに動かした。
    ずっと眺めていたシルバーアッシュ。なにを考えているのか、分からないと責めたりもしたけど、分かってないのは自分のほうだった。
    (…あぁ、本当に私って馬鹿なんだなぁ)
    ドクターは、自分の首を両手でゆっくり締める仕草を想像する。殺せるなら殺してしまいたいほど、愚かで間抜けな存在。
    シルバーアッシュの友人だというドクターの自分を。



    分かりきってはいたが、シルバーアッシュからもっと話をしたいと要望があった。断ると二度目はない気がして、ドクターは執務室に招き入れる。
    互いに黙ったまま滑り込むように部屋へ戻り、何事もないような振りをしてコーヒーを入れようとした。
    ドリップ式のインスタントコーヒーを取り出して、シルバーアッシュからもらったカランド貿易社のステンレスマグを手にする。
    「君はブラックで良いんだよね」
    「盟友」
    ぬっと後ろにシルバーアッシュが立ったのが分かる。大柄な影の横に、左右へ揺れる尻尾が見えた。
    「やっぱりミルク入れる?」と聞きながら、コーヒーのパッケージの封を切ろうとした。
    「盟友、私に聞きたい事があるのではないか?」
    背後から澄んだ声に問いただされる。
    「聞きたい、こと…」
    手袋をした間々、開けようとしたコーヒーのパッケージは震えていた。
    「先ほど、私は言ったはずだ。全ては虚構の記事だと、あれは事実ではない」
    だから、なんだろう。
    全て嘘だから、もう心配いらないのか?そんな事は無いじゃないか。
    シルバーアッシュの立場は自分と違うし、何よりも気分が変われば今のままでとはいかないから。
    「分かってるよ、嘘の記事だったんでしょう。でも君の息子なら、可愛いだろうね…クリフハートも綺麗な顔をしているからさ」
    泣きそうな声になったら、どうしようかと困っていたが、案外と冷静な声が出せて安心した。「盟友」の声と共に、右手に摘まんでいたコーヒーのパッケージごと手を握られる。
    そうしてシルバーアッシュのもう片方の腕に上半身を抱きしめられた。
    「どうして、そんな暢気な話をする。もし事実だったら、どうする気なんだ。私がお前を騙していたかもしれないというのに」
    苦々しいシルバーアッシュの口調に怒りが滲んでいるのが、分かってしまった。珍しく感情が露わな声に、ドクターは固まる。
    振り向くことも逃げようと暴れることも出来ない。唯一自由なのは、口元だけだった。
    「…だって、君はなにも悪くないもの。私を騙してても、嘘をついて誤魔化してたとしても、なにも悪くない」
    暗闇に閉じ込めていた本音を語りながら、シルバーアッシュの手を握り返した。
    「色々と立場も違うし、だから君は悪くない」
    「その言い分だと、お前は私に関心が無いということか?」
    「違うよ、私が悪いってだけの話さ。愚かで馬鹿なのは自分だったって気がついただけだよ」
    するりと掴んでいた手が離れてゆく。
    自由になった手のひらのしたでコーヒーのパッケージはぐちゃぐちゃに潰れていた。
    「君が来る前の夜は、なにを話したら良いかなぁって眠れなくなるんだ。念入りにお風呂に入ってみたりして…ね、馬鹿みたいでしょ」
    と、しっかりと肩を掴まれ、向きを変えられる。眉間に皺を寄せたシルバーアッシュに真正面から抱きしめられて、ドクターは目を瞑った。
    「どうして、どうしてそんな…私に何故いわない」
    闇のなかで、優しく問いただされる。
    「盟友、もっと私に教えてくれ。足りない部分を直そう、怒っても叱ってくれても良い…」
    「怒る?とんでもない」
    ゆっくりとシルバーアッシュを見上げる。整った表情を仰ぎながら微笑んだ。
    「私が悪いって自分を責めておけば済むから良いんだ。怒ったりしたくない、君のこと好きだから」
    好きだから、愛おしいから怒りたくない。自分を責めていれば、せいぜい眠れない夜が増えるくらいだろう。
    シルバーアッシュの嫌そうな顔を見なくて済むなら、たくさん自分を絞め殺してるほうが楽だ。
    「盟友―」と言いながら、シルバーアッシュに頬を寄せられる。横からでも、やっぱり整った顔は美しかった。



    つづく…
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