【02】あまのじゃくと恋煩い第2話「羨望」
ユーニとの出会いは、高校の入学式でのこと。
式が終わって誰もいなくなった体校章育館で、独り床にうずくまり何かを一心不乱に探している彼女の姿を見かけたのは偶然だった。
入学式の最中に落としてしまった校章を探していたらしい。
なんとなく探すのを手伝ったことをきっかけにお互いの存在を知り、顔見知りになった。
入学したばかりの校内にはほとんど知り合いなどいなくて、そんな僕にとって時折廊下ですれ違うユーニは数少ない知り合いだった。
見かけるたびに彼女は名前を呼んで笑いかけてくる。
今まで異性の友達なんていなかったせいで当初はどう接していいかわからなかったが、彼女の気さくな態度が壁を強引に取り払ってくれた。
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