【#04】スキなんて言ってやらない第4話「あまのじゃく」
アタシの家は、コロニー9の居住区の中央、防衛隊医療班係専有の集合宿舎の一室だった。
成人してから数年ここに住み続けているため、それなりに思い入れもある。
けれど、タイオンから同棲の提案をされた今、長く寄り添ってくれたこの部屋ともお別れの瞬間がやって来た。
少しの寂しさはあるけれど、相手はあのタイオンなんだから仕方ない。
アイツは昔から天邪鬼で慎重な性格だった。そんなアイツが、顔を真っ赤にしながら“一緒に住もう”と言ってくれた。
断る理由なんてどこにもない。
受け入れたその瞬間、勢いに任せてキスしてくれたのも嬉しかった。
すぐに唇を離して、“急に申し訳ない”と謝られたけれど、何も謝られる理由はない。
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