高校入学当日の朝。シュウは丁度新品のローファーの片足を突っ込んでいたところ、小さな物音を聞き後ろを振り向く。そこにはまだ寝ているはずのルカがぽつんと立っていた。オーガスタスを床に引き摺って、まだ重そうな目を擦りながら窓から差し込む光の眩しさに瞼を震えさせている。
「シュウどこいくの?」
「おはよ。昨日言ったでしょ?今日から僕高校生だから。ルカ、きみまだ眠いはずだしアイクかヴォックスの部屋でもう一度寝直しておいで」
「聞いてない!いっしょにいく」
シュウは昨日確か食卓で伝えた筈なのにな…と苦笑し、少々身構えた。ルカが何かこれをすると一度決めたら中々折れてはくれないからだ。
「それは、ちょっと難しいかも…」
「なんで?」
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