コアントローをひとさじ そもそもが、土台おかしな話だったのだ。組織は長男が継ぐべきだった。彼が賭博でヘマをしていなければ、実際そうなっていただろう。次男は上に立つ男ではないのは確かだが、それでも三男とどちらがマシかと言われれば悩ましい。三男は、上に立つことができてしまう人間だった。彼自身の心を欺し切ったまま、全てを取り繕ったままで。
だからこんなことになっている。
廊下の角から身を乗り出して引き金を引いた。銃口から放たれた弾が肉を引き裂き、骨を砕き、命を殺していく。昨日まで仲間だった男たちの冥福を祈りながら、それでもカルナは一切躊躇わなかった。
両手に銃を携え、通路を行く。過越の夜のようだ。いや、あれは初子を打つのだったか。それにカルナは、血に塗れたドアの向こう側に隠れていた人間をも見逃しはしなかった。誰一人逃がしてはならない。
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