おめでとうはたちのつどいに寄せて
(2023.01.09)
『杉元一佐様』
そう表記された役所からのハガキは、二十歳の集いへの招待状だった。
一佐は、その存在を望まれていないと感じたことはなかったが、父と母は早々に離婚しているし、いわゆるデキ婚だったことも知っている。
今の一佐より、ほんの何歳が歳を重ねただけで子供を妻を、家庭を持つ覚悟をした父。父子家庭でも寂しさもあまり感じることなく不自由もなく、また周りにもたくさん助けてもらった事が多かった。幼い頃から一緒にいた、いてくれたこの人のお陰が大きいことを、成長とともに知ることになった。
そして最近では、有り難さよりも―ーちょっと違う気持ちが先に立ち始めていた。
「似合ってんじゃねえか」
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