ストンピング「祈瑠くん~、前お願いしたスポドリこれじゃな~い」
「……」
「あれ? 耳ついてる?」
「あああやかましい!」
つん、と頬を突かれて、その正体を振り切る。時間の限られたレッスンルームで、本来なら休憩時間すら惜しい。それなのにミスの目立つところを修正して、一曲通しをしただけでへばってしまう男に付き合ってやってるのはこっちの方だ。
へらへら笑うひゅーいを睨みつけ、隣でその様子を見てるだけの男にも同じ目を向ける。だが、プリマジスタの状態と違い黒髪のままのそいつは申し訳なさそうに眉尻を下げるだけだった。
「俺はお前らの監督をしているのであって小間使いになった覚えはない」
「ボクらが更によいプリマジを出来るように祈瑠くんがいるんだよね? じゃあボクのために欲しい飲み物を差し入れするのも祈瑠くんの役目じゃない?」
1433