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    らいし

    一次創作のみならず、色々なジャンルでかいています!
    らくがきなどは新しいページを作らずに編集で追加していっています!
    いちページにたくさん載せているのでよかったら見ていってね!!

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    らいし

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    関係改善後の歩み寄り中、うちの双子の兄弟のおはなし
    一緒にリビングで過ごしてるし、けっこうなかよしです

    #オリジナル
    original
    #一次創作
    Original Creation

    一緒にカラオケに行きたい「何かこう…かっこいい日本の歌って知ってる?」
    「かっこいい? アニメソングなら分かるけど…」
    唐突に聞かれたレプティスは首を傾げた。
    「歌番組はあまり見ないから、そういうのでいいなら」
    「アニメかあ…子供向けじゃないのか?」
    「日本のアニメはかなり大人向けだと思う……フォッサの要望に合ったかっこいいアニソンをオススメしよう」
    「まあそれでいいか」
    どうも期待はされていないようなのがサブカル好きなレプティスには少々癪に障る。ソファに並んで座って携帯機器で動画を探した。
    「ん~……これ、かな?」
    再生ボタンを押して流れ出した華やかな前奏、技巧の利いた女性のヴォーカルがふたりしかいないリビングに響く。
    「かっこいい…けど、女性の曲か……どうしようかな」
    「あれ?もしかして何か目的があって訊いてた?」
    「いや……カラオケのレパートリーを増やそうかと」
    「あぁ~…この曲、歌うには難しいか…早口だし。もうちょっと分かりやすい曲を…」
    「いや、かっこいいし……好きなんだよな?」
    「え?そりゃあ……好きな曲…だけど」
    「俺ならこれぐらいいける」と、恰好を付けた(とはいえ、レプティスからは意地を張っているようにしか見えないのだが)フォッサが曲名を確かめ、自身のスマホで曲を聞き直し始めた。
    ひらがなの歌詞を眺めながら2度ほど聴き、3度目の間奏で息を吸い込んだ。
    「♪~~」
    「!!」レプティスが息を止めた。とても歌が上手かった。
    初めて歌う難しい曲で、しかも母国語ではない歌。完全に歌えたとは言えないが、詰まった部分以外はとてもきれいに声が響いた。
    2番と最後のサビを苦心しながら歌い切り、ふぅとフォッサが息を吐く。
    「あ~…やっぱり難しいな」
    傍らでぽかんとしている兄を見て、「ん?」と弟が首を傾げた。
    「………そんな歌上手かったんですか」
    「うん」普段自分に使わない「です」が付いたセリフに驚きが見える。ついでに何かを期待したようなキラキラしたものが見えて、何故か不意に消えたのをフォッサが見て取った。
    「うん、って…自分で言う」
    「だって、友達によく言われるし」
    「そ…う、です……か」拗ねたような、ちょっと悔しそうな顔をされてフォッサが苦笑した。
    そういえば、兄の前で歌ったのなんて初めてだったかもしれない。文化祭で歌ったことがあるはずだが……そういえば、その時は兄は店番とやらでそこにいなかったように思う。
    「何? 何か言いたいことがありそうだったけど、言えよ」
    「え~……? う~………」
    言いにくそうに目を逸らす兄の言葉が出てくるのを待つ。全面的になんでもできる器用な兄だが、自分自身の気持ちを言葉にするのが得意ではないので、しつこく待っているのが正解なのだ。
    「……他にも…オススメの歌があるので……」
    「俺に歌って欲しい?」
    「うん」と頷いた頬がほんのり赤い。それぐらい素直に言ってくれてもいいのに、とフォッサは思った。
    「そんなの遠慮するような性格だったんだ」
    自分から見て兄は好き勝手に生きているように見えていた。嫌われていた時にはよくああしろこうしろと言われていた覚えもある。
    「……私の好きな歌より、まわりにウケるものを覚えた方が…フォッサにはいいかと」
    なるほど?とフォッサは理解した。根本的に自分のことで手間を掛けさせるのが人の迷惑だとでも思っているのだろう。
    本当のところ、兄の好きな歌を覚えて歌ってあげたら喜ぶかな、とかそういう理由でオススメを聞いたのだ。歌って欲しいと思ってくれたなら大歓迎である。
    「俺が美声すぎるからそう思うのも当然だろ」
    その辺の気持ちを素直に言えたら良かったのだろうが、まだ照れの方が勝ってしまった。
    でも、この曲をうまく歌えるようになったら、一緒に出かける口実がまたひとつ増える。
    Raishi 20240205,
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