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    azusa_n

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    エド+ルク(幼少)とモクルク(未満)
    引き取られ直後+ドメ期間。この気温で書く話じゃない。

    いつもの炎の夢から飛び起きた。
    天井がいつものものじゃなくて困惑する。僕の、ルーク・ウィリアムズが住む家だと分かるまで暫くかかった。
    時計を見れば、日付が変わってすぐ。布団に入ってずいぶん経つのに肌寒い。汗をかいたせいかもしれない。
    タオルケットで乱雑に汗を拭って、そのまま膝を抱えて体を縮めて、ぎゅっと目を閉じて。
    息が落ち着いても眠気はこなくて、寝返りを何度か繰り返した後、仕方なくベッドから降りた。


    「……と、父さん。まだ起きてたんだ」
    そっとリビングの扉を開くと、うすぼんやりとノートパソコンの明かりを受けていた父が見えた。

    「どうした?ルーク。怖い夢でも見たか?」
    いつもと異なり難しい顔をしていた父は、顔を上げると画面を閉じて置き、僕の前まで来てしゃがんで目線を合わせてくれた。
    困ったように、慰めるように眉を寄せる父に頷く。
    「……うん…」
    「どんな夢だった?」
    「……火が……、っ……」
    火が、たくさんあった。それから?
    考えようとして、まとまらない。
    「ああ、ごめんな」
    抱きしめてくれて、優しく頭を撫でる手が温かくて心地良い。
    体温を分けてもらってようやく人心地ついた。
    「ホットミルクでも飲むか?」
    「……いいの?」
    「当たり前だろ。ああ、後で歯磨きはするんだぞ」

    暫くして、青いマグカップを渡される。
    気泡が端にたくさんあり、牛乳の上には膜が張っていた。

    「どうだ? うまいか?」
    「…うん、うまい!」
    オウム返しに返事をして、丁度良い温さのミルクを飲む。
    甘くて、温かくて、とてもほっとする。
    「よく眠れるように父さんが魔法をかけてやったからな。歯を磨いたらすぐぐっすりだ」
    「父さんはまだ寝ないの?」
    「…そうだな、俺もルークと寝ようかな」
    「……やった」
    小さく、マグカップに溶け込むように呟いた言葉は父には聞こえなかったのだろう。父は優しく微笑んでいるだけだった。
    静かに、ぽつぽつと会話をしながらゆっくりとミルクを飲んだ後は、うとうとしながらも父と一緒に洗面所へ向かい、それから狭いベッドで並んで横になった。
    眠くなる魔法はよく効いたようで、ふたり並んで横になるとすぐ眠ってしまった。

    -------


    12月に入った。ホテルへの潜入に向けた準備もそこそこに、ここ数日は仕事が忙しい。
    深夜に帰ってきたものの、翌朝も早くに出かける予定だ。

    「あ、モクマさん、まだ起きてたんですね」
    「おかえり、ルーク。いやね、ルークの作ってくれた南蛮漬けが丁度良い浸かり加減で酒が止まらなくなっちまって」
    「おいしく食べてくれたならなによりです」
    「ルークも軽く食べるかい?」
    「いえ、もうこんな時間ですし…」
    「そっか。じゃあせめて、あったかいもん飲んでから寝たら?」
    「それくらいなら……」
    「りょーかい。ちょっとだけ待っててね」

    キッチンの流しを飛び越えて、冷蔵庫を開けるモクマさん。
    3歩分だけ歩けば済んだのでは、と脳内でつっこんでいる間に、電子レンジから完成を告げる音が聞こえた。

    「はい、おまたせっ」
    「ありがとうございます」
    マグカップの中には温かなホットミルク。
    かじかんだ指をじんわりあたためて、一口。
    「………あれ、この味………」
    「ちょっと疲れてるみたいだったからさ。愛を込めてみたの」
    モクマさんが指でハートを作ってウインクをする。
    「……愛……」
    口の中で繰り返す。
    たしかに、あれは愛だったのかもしれない。
    「や、そんな引かんといて」
    「いえ、そうじゃなくて。ありがとうございます。すごく懐かしい味で嬉しいです!」
    ちょっと思想にふけってしまったところでモクマさんが肩を落としている。慌てて付け加える。
    自分で作ると甘さは同じに出来ても何かが足りないのに、今日は違った。
    牛乳の膜が浮いているところまで、思い出の味とそっくりだ。
    「はい。あの、これってどうやっ……」
    「また作ったげるよ」
    「楽しみにしてますね」
    クリスマスを過ぎたら、気軽にお願い出来る距離ではなくなるのだけれど。
    ほんの少しだけ、喉の奥が苦い気がした。


    -----

    以下蛇足。書きたいところ書いたからもういいかなって…。
    ・なんで良い時間なのにベッドが冷たいのか
    ・なんで真夜中にPC弄ってたのか

    ・たっぷりはちみつと、 加 熱 後 に ラム酒を加えて外から帰ってきたルークが温まるようにしたのに、どうして『懐かしい味』判定になったのか訝しんでるけど顔には出さない
    ・順調に思い出の味を上書きされてる🐠
    ・なんで幼少期の思い出の味にラム酒が?酔ったらすぐ寝付くだろうってコト?ってところまでばっちり頭が回った
    ・酒入りって教えるのも微妙だし、作ってあげる口実になるし、ホットミルクで思い出すのが自分になるのでは?ってところまでばっちり頭が回った
    ・チェズレイは甘いからルークが寝れてなさそうだからって言い訳にしたらちょっと仕事休めるのでは?とも(ただしチェズレイが行くってなる説と、休んだ分は結局自分で取り戻すことになるのは理解してる)
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