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    さんこもち

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    さんこもち

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    大学生のお子様コンビがルームシェアしてる話です。ほんのり西ロマ要素があるかもしれません。

    #腐向けヘタリア
    hetaliaForRotten

    ルームシェアお子様コンビ 盛大に腹がなる音とともにロヴィーノは目をさました。ロヴィーノの腹時計はいつだって正確だ。スマホのアラーム程度では起きないロヴィーノでも空腹にあらがうことはできない。
    「……飯、作るか」

     隣で心地良さそうに寝ているアルフレッドをよけながら寝室を出る。
     ロヴィーノは朝から食欲がある方ではない。せいぜいエスプレッソを飲みパンを一つ食べれば満足するのだが、同居人のアルフレッドは時間に関わらず食欲旺盛で毎日朝食もがっつりと食べている。このルームシェアにおける料理の担当はロヴィーノである……というかアルフレッドに任せておいたらとんでもないことになると容易に想像がつくためロヴィーノが料理をしている。つまり、アルフレッドが食べる大量の食事はロヴィーノが作っている、ということだ。まあ、手間だと思うこともあるが、料理は数少ないロヴィーノの特技であるし、なによりアルフレッドは自分の作った料理をうまいと言って食べるため悪い気はしない。

     さて、今日何を作ろうか。

     冷蔵庫には昨日買ったばかりのパック卵と常にストックしてあるアルフレッド用のベーコン、食パン一斤にトマトやコーンといった野菜類が入っている。
     フライパンを火にかけその上で卵を割る。双子たまごだ。なんとなく縁起がいい気がする。ベーコンも追加して一緒に焼いていく。じゅわじゅわと良い音をたてながら焼きあがった目玉焼きとベーコンを皿へと盛りつける。タイミング良くトースターが鳴り食パンが出てくる。そろそろアルフレッドが寝室から出てくる頃だろう。気まぐれなロヴィーノの腹時計とは違い、アルフレッドは毎日同じくらいの時間に起きている。トマトを切り分け目玉焼きの隣に並べる。余ったトマトはロヴィーノの口の中へと放りこまれていく。

     寝室の方から足音が聞こえてくる。
    「ロヴィーノ、おはよう!」
     いい朝だね、と続ける。毎日この台詞を聞いているような気がするが、アルフレッドにとって悪い朝というものは存在しているのだろうか。
    「今日は目玉焼きだぞコノヤロー」
     ロヴィーノがアルフレッドの前に皿を置きながら言う。
    「ロヴィーノは目玉焼きを作るのも上手なんだね!」
     実に嬉しそうな顔をしながらアルフレッドが料理へとかぶりつく。ロヴィーノの方も淹れたてのエスプレッソを飲みつつバケットから取り出したパンを食べすすめていく。
     食事をしているとアルフレッドがロヴィーノの方をじっと見つめてきた。正確に言えばロヴィーノの口もとを、だ。まさか足りなかった、なんてことではないだろうな。そんなことを考えているとアルフレッドが口をひらいた。
    「君って本当に朝は少食だよね。それだけで足りるとは思えないよ」
     アルフレッドの口ぶりからするに本気で疑問に思っているのだろう。世の中にアルフレッドのような大食い野郎ばかりだったらすぐに食糧危機におちいってしまう。
    「……お前が朝から食いすぎなんだよ。そんなに入るわけねぇだろ」
     ロヴィーノからしたらむしろアルフレッドの方が食べすぎだ。寝起きでそれだけ食べられるなんてどんな胃袋をしているのかわかったもんじゃない。

    ***

     食事が終わると二人して洗面所に行く。そのため、さして広くないその場所はぎゅうぎゅう詰めになってしまう。
    「ふぉうふぁふぁんひほろふぁいふぉふぉわるふんふぁい?(今日は何時ごろにバイト終わるんだい?)」
    「歯ぁみがきながらしゃべるんじゃねぇよ……。バイトは五時にあがるぞ」
    「了解っ!」
     ロヴィーノの注意を聞いたのかうがいをした後で元気に返事をする。
     洗面台の前に移動したロヴィーノは念入りに髪をセットしていく。セットしたところでたいして変わらないとアルフレッドは思っているが、前にそう口にしたところ「いつ素敵なベッラとの出会いがあるかわかんねぇだろ!」という返答をもらってしまった。まだ見ぬベッラのため、常にかっこいいロヴィーノでいなければならないと言う。アルフレッドはもちあわせていない感覚だ。
    「よっし、行くぞアルフレッド!」
     くるんの位置まできっちりと調整したロヴィーノがアルフレッドへと声をかける。

     どたどたと足音を響かせながらアパートの階段をかけおりていく。二人の住むアパートは大学から徒歩十分というほどよい距離であるのだが、二人がぎりぎりに家を出る原因にもなっている。

     学部の違う二人は昼に待ち合わせる約束をしてわかれる。アルフレッドのせわしない足音を聞きながらロヴィーノは学部棟へと入っていった。

    ***

     ……眠い。
     ロヴィーノはあくびをしながら講義室の右端に掛けてある時計を横目で見る。あと十五分、というところだった。
     早く終わんねぇかな……。
     周りにはちらほら寝ている学生も見受けられるが、さすがに寝るわけにはいかない。ロヴィーノの学費を払っているのはロヴィーノの祖父のローマである。男手ひとつで自分と弟を育ててくれた祖父に払ってもらってるのだからきちんと講義を受けなければならないだろう。いや、受けるべきだ。ロヴィーノはそう考えている。
     前に、何かのタイミングでアルフレッドにそんな話をしたときには「君って意外と真面目なんだね」と言われたが。アルフレッドはそういうことをからかうタイプではないので本当に意外だったんだろう。……まあ、ロヴィーノはさぼり癖がありアルフレッドの前ではよく愚痴をこぼすこともあるため怠けがちだと思われるのは仕方ないことなのかもしれない。
     頭を切りかえて筆記用具を握りなおす。
     あと十五分、頑張るか。

    ***

    「あっロヴィーノ!」
     ロヴィーノが学生食堂館の前に行くとすでにアルフレッドが待っていた。
    「悪い、待たせたか?」
    「いや、そこまででもないよ」
     二人並んで食堂館へと入っていく。

     向かい合わせに座った二人は食事をすすめながら話している。
    「ロヴィーノはこれからバイトなんだろ?」
    「おう。お前は講義三限までだったか?」
    「いや……今日はオンデマンドなくなっちゃって四限までなんだ……」
    「そりゃあ残念だったな」
     落ちこんだ様子のアルフレッドにロヴィーノが雑な慰めの言葉をかける。
    「……あ、そういや今日本田さんシフト入ってるらしいぞ」
     俺と同じ時間にあがりだと伝える。
    「本当かい!?」
     アルフレッドは、ロヴィーノのバイト先の先輩である本田にたいそう懐いていて、会うたびに新作ゲームがどうだとか今期のアニメはこれが良いだとかいう話をしている。どうやら二人はロヴィーノがバイトをはじめる前からの知り合いらしいが、いつどのように知り合ったのかはロヴィーノの知るところではない。
    「菊とはこの前出たゲームの話をしたかったんだ!」
     ナイスタイミングだよ、と嬉しそうにしている。実にわかりやすい奴だ。アルフレッドに言ったら「君だって人のこと言えないじゃないか!」と言われそうだから言わないでおくが。
    「んじゃ、今日はバイト先来るんだな」
    「もっちろんさ!」
     今日の手持ちがどれくらいだったかを思い出す。アルフレッドと本田と話しこむと長くなるのが常だった。バイト先であるカフェで時間をつぶした方がいいだろう。

    「じゃあまた後でね!」
    「おう」

    ***

     従業員用の裏口から店内へと入って行く。スタッフルームにはすでに本田がいて、着替えをしているようだった。
    「こんにちは、ロヴィーノくん」
    「おー、本田さんこんにちは」
     ロヴィーノが入ってきたことに気づいた本田が落ち着いた様子で挨拶をする。本田からの敬語を使わなくてもいいという言葉に甘えて年上の本田に対してもロヴィーノはタメ口で話している。
    「今日アルフレッドが来るって言ってたぞ。新作ゲームの話がしたいって」
    「あぁ、あれですか。私もアルフレッドさんと話したいと思っていたところなんですよ」
     ちょうどよかった、と柔和な笑みを崩さずに言う。

    ***

    「ありがとうございましたー」
     最繁時も終わり客の数もまばらになってきた。ロヴィーノがひっそりと息をついていると本田から声をかけられた。
    「ロヴィーノくん、お疲れ様です。少し早いですがもうあがって良いと店長から」
    「わかった……!」

     二人でスタッフルームへと行き制服から着替える。
    「たしか、アルフレッドくんが来るんでしたよね」
    「あー……五時にあがるって言っといたからそれくらいに来るんじゃねぇか」
     いつもシフトが同じというわけでもないのでロヴィーノが本田といる時間はそこまで長くないのだが、物腰柔らかでどことなく話しかけやすい雰囲気をまとっている本田のことをロヴィーノは好ましく思っていた。弟のフェリシアーノに幼なじみのアントーニョ、友人のアルフレッドとなぜか昔からロヴィーノの周りには騒がしい奴が多かったため、本田のあまり多くを語らないところも気に入っている。ロヴィーノが知る限り、本田が饒舌になるのはアルフレッドとゲームやらアニメやらの話をしているときと食について語っているときだけだった。
     ロヴィーノのスマートフォンが震える。アルフレッドからメッセージが届いたようだ。
    「アルフレッド、今店に着いたって」
    「じゃあ店に戻りましょうか」

    ***

    「ロヴィーノ!菊!」
     先に席についていたアルフレッドが手を振って二人に呼びかける。注文品を受け取ってからアルフレッドのいる四人掛けの席へと座る。
     席についた途端アルフレッドと本田は新作ゲームについて話しはじめる。おそらく、アルフレッドがここ最近毎日のようにプレイしていたゲームの話なのだろう。残念ながらロヴィーノはそのゲームについてよく知らない。オープンワールド?のゲームだとアルフレッドは言っていた。話に熱中する二人を横目にコーヒーを飲む。
    「……ん?」
     新着メッセージが届いている。アントーニョからだ。ロヴィーノの年上の幼なじみであるアントーニョはことあるごとにロヴィーノを構い倒してくる。ロヴィーノが引っ越すとなったときには誰よりも悲しみ一方的に毎日連絡するという約束まで取りつけてきた。その言葉通り、毎日メッセージを送ってきている。返事が面倒になり放置したところロヴィーノが出るまでずっと電話がかかってきたことがあるためなるべく返信するようにしている。
     アントーニョからのメッセージはたいてい中身がないもので、今日食べたトマトがおいしかったとかロヴィーノみたいな毛並みの猫を見つけたとかいう話をしてくる。今日はオリーブがロヴィーノの瞳に似ていて会いたくなった、というものだった。まったく、バカなヤローだ。読んだこっちが恥ずかしくなってくるような文章を送ってこないでほしい。気を抜くとゆるんでしまいそうなくちもとをおさえ、耳まで真っ赤になっているのを自覚しながらアントーニョへと返事を打ちこむ。

    ***

    「結構話し込んでしまいましたね」
     時計を見ると、もう少しで六時、というところだった。もう一時間たっている。アルフレッドと二人で話し込んでしまったためロヴィーノは、暇だったのではないかと本田が心配する。
    「いや、大丈夫じゃないかな」
     アルフレッドがロヴィーノの様子を見て答える。ロヴィーノは暇だと思ったらさっさと帰るだろうから問題ないとは思っていたが、どうやら『いつもの彼』とやり取りをしているようだった。
    「ロヴィーノ、また彼からメッセージきたのかい?」
    「うぉあ!?のぞいてんじゃねーよ!バッファンクーロ!」
     よほど集中していたのか近くまで移動してきたアルフレッドに気づかなかったようで、声をかけると飛び上がる勢いで驚いている。
    「失礼だな、のぞいてないよ!君がわかりやすいんじゃないか」
    「俺はわかりやすくねぇ!」
     ふん、と鼻を鳴らして自身のそばに置いておいたトートバッグを肩にかける。
    「話し終わったんなら帰るぞ」
     ロヴィーノが照れ隠しのように帰りをせかす。やっぱりわかりやすいじゃないか。さすがに二回は言わないけど。拗ねたロヴィーノがめんどくさいことをアルフレッドはよく知っている。

     本田に話に付き合ってもらった礼を言い、あいさつをしてから別れる。本田が見えなくなるまでアルフレッドが彼に向けて手を振っているのもいつもの光景だ。
     アルフレッドが手を振り終わるのを待ってから二人いっしょに歩き出す。
    「今日の夕食は何だい?」
    「パスタ」
    「え〜たまにはハンバーガーが食べたいんだぞ」
    「うるせぇ!ミートボール入れてやるから文句言うんじゃねぇよ」
    「本当かい!?」
     単純な奴だ。
     ロヴィーノはアルフレッドとのルームシェアが決まった際に、アルフレッドは放っておくとジャンクフードしか食べなくなるためバランスのとれた食事を作ってくれ、と彼の兄のような存在であるアーサーから言われていた。アルフレッドは、君に食事について口出しされたくないよ、なんて言っていたが、食事において栄養バランスは重要であるとロヴィーノも考えているし、なにより『あの』アーサー=カークランドから言われたことを破るなんておそろしくてできるはずもない。ロヴィーノは、アーサーのことをよく知っているというわけではないが、アントーニョの悪友の一人であるフランシスと殴り合いの喧嘩をしているところは何度も目にしたことがあるし、詳しくはないがアントーニョとも昔一悶着あったらしいと彼の悪友のフランシスやギルベルトから聞いたことがある。そしてロヴィーノがアーサーに恐怖を感じている最も大きな原因は彼の料理の腕だ。一度だけアルフレッドに巻き込まれてアーサーの作ったスコーンを食べた……いや、ほぼ強制的に食べさせられたことがあるがこの世のものとは思えない味をしていた。もちろん悪い意味で。アルフレッドが幼いときからアレを食べていたと聞いたときはさすがに同情を禁じえなかった。アルフレッドに会うときはいつもあのスコーンを持ち歩いているとのことでロヴィーノもいつ被弾するかわからない状態である。もしもアルフレッドがジャンクフードばかり食べていて、それがアーサーの耳に入ったら、二人がルームシェアしている部屋でアーサーによる手料理が披露される、なんてことになってしまう可能性だってある。それを回避するためにもちゃんとした食事を作る義務がロヴィーノには課されている。アルフレッドのわがまま一つで変えられるものではない。

    ***

     部屋へと到着し、ロヴィーノはキッチンへ、アルフレッドはダイニングへと向かう。
     アルフレッドは、ダイニングに置かれたテーブルへと座りロヴィーノがパスタを作る音を聞きながら一昨日出された課題に向き合う。これはまたなかなかに厄介だ。授業のレジュメをたよりにパソコンとにらめっこする。

     ところどころ頭を悩ませながらもなんとか半分ほど終わらせた、というところでロヴィーノからもう少しで夕食が完成すると声がかかった。テーブルの上にのせていたパソコンや授業のレジュメを隣の椅子へと移動させる。ちらりとキッチンの方へ視線を向けるとちょうどロヴィーノがパスタにソースをかけているところだった。

     向かい合わせに座り、中身があるのかないのかわからないような話をしながら夕食を食べる。

    「今日、アントーニョが週末にうち来るって言ってたぞ」
    「えぇ……彼が来るのかい」
    「……嫌なのか?」
    「彼、会うたびに君とのこと聞いてくるんだよ」
     アントーニョからは、顔を合わせるたびにロヴィーノによからぬ事を教えてないだろうな、ロヴィーノを泣かせたりでもしたら絶対に許さない、という旨のことを言われ続けている。親分だか何だか知らないがアントーニョはロヴィーノに対して少々過保護すぎる気がする。まあ、過保護という点であればアルフレッドにもアーサーがいるのであまり人のことは言えないが。
    「あー……あいつが口うるさいのは昔っからだから諦めろ」
     ロヴィーノが、少しバツが悪そうにして言う。アルフレッドとルームシェアをしていることに対してアントーニョがあまりいい顔をしていないのはさすがのロヴィーノでもわかっているつもりだ。少しは子分離れをしてほしいと思うがまだロヴィーノのことを大切に思ってくれているということが少し嬉しく、あまり強く出れていないのが現状だ。
    「彼がロヴィーノに過保護なのは知ってるけどさ、毎回『ロヴィーノのことたぶらかしてへんやろうな?』なんて言われる身にもなってよ」
     さすがに勘弁して欲しいんだぞ、とアルフレッドが言う。

    「……たぶらかすってなんだよ」
     愚痴のつもりだったのが、それを聞いたロヴィーノの耳は真っ赤に染まっている。なぜここで照れるのか。アルフレッドにはよくわからないが、まあロヴィーノにもいろいろ思うところがあるのだろう。くわしくつっこむと厄介ごとに巻き込まれそうな気配がする。
    ……週末はマシューのところにでも退避していたほうがいいかもしれない。

    ***

     この前新調したばかりのスポンジに食器用洗剤を染み込ませて食器を洗っていく。皿洗いはアルフレッドの役割だ。元々は二人で分担しようという話になっていたのだが、ルームシェア初日にロヴィーノが皿を三枚割ったところでアルフレッドの役割になってしまった。

     ぺたぺたと少し湿った足音がする。ロヴィーノだ。彼はアルフレッドが食器を洗いはじめるのと同時に風呂へといった。
     アルフレッドの予想通り、タオルでわしゃわしゃと髪の水分を拭き取りながらロヴィーノがダイニングへと入ってきた。
    「風呂あがったぞこのやろー」
    「俺もこれが終わったらシャワー浴びるよ」
    「おー」
     部屋に置いてある共用のドライヤーのスイッチを入れ、髪を乾かす。ロヴィーノは、脱いだ服は放置するのに髪は風呂からあがるとすぐ乾かす。……変なところでマメなんだよな、ロヴィーノ。服はテキトーに置くし髪だって乾かすのが面倒になるアルフレッドからするとどちらもたいして変わらないように思えるがロヴィーノの中では何かしらの区切りがあるのだろう。
     最後の一つのフォークを洗い終わり、アルフレッドも風呂へと向かう。

    ***

     風呂からあがるとコーヒーのいい香りがした。ロヴィーノが煎れてくれたようだ。風呂あがりのコーヒーは二人の中で暗黙の了解のようになっていて、先に風呂に入ったほうが煎れるというルールが自然にできあがっていた。普段はキッチンへの立ち入りを禁止されているアルフレッドがキッチンに立つことができるのは食器を洗うときとコーヒーを煎れるときだけだ。
    「ありがとう、ロヴィーノ」
    「ふんっ、明日はお前が煎れろよコノヤロー」
    「オーケー、わかったよ」
     口にしたことはないが、ロヴィーノはアルフレッドの煎れるコーヒーを気に入っていた。もしかしたらアルフレッドにはバレているかもしれない。アホみたいに空気が読めないくせになぜかそういうことだけは気づくような奴だ。
    「コーヒー飲んだら寝るぞコンチクショウ」
     髪はちゃんと乾かせよ、と、釘をさしておく。アルフレッドはめんどうくさがって乾かさないときがある。アルフレッドにそれを注意すると、君だって服を脱ぎっぱなしにしてるじゃないか、なんて言うがそれとこれはまったくの別問題だ。髪の手入れをおこたるなんて考えられない。

     アルフレッドが髪を乾かすのを待ってから二人で寝室へと向かう。二人のベットは少しの隙間をあけて隣に並べてある。
     寝室の電気を豆球にしてお互いに就寝のあいさつをする。

    「おやすみ、ロヴィーノ」
    「おう、アルフレッド、おやすみ」
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