Still Unforgiven(サンプル)第一夜 廃病院へようこそ①
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1人でこんな遠くまで来るなんて、記憶している限り初めてのことではなかろうか。
早朝から電車に揺られ、ビル群から春めいた自然に変わっていく景色に感嘆したり、どこか感傷的な気分に浸ったり。
そんな時間を二時間以上過ごした後に、乗り継いだバスを後にしたあんずを出迎えたのは少し寂れたバス停だった。
「……すごい……。こんな景色、初めて……」
眠い目をこすりながらバス停に降りたあんずは、目の前に広がった光景に思わず吸い寄せられるように歩き出した。
映画の中に入り込んだような錯覚の中、あんずは広大な自然と、そこに存在する古い茅葺の日本家屋に魅入る。
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