踊らにゃ損損 2フラの教室に通うハメになったことを話した翌朝のこと。
朝食の片付けを手早くすませ、出掛ける準備をしていた僕に、新聞に目を通していたKKが話しかけてきた。
「んで、なんでお前はフラ習うことになってんだよ」
「スーパーの買い物帰りにさ、町内会の掲示板見てたんだよ」
「なんでフラのチラシなんか見てんだよ」
「違うよ、僕が見てたのはフラのじゃなくて、その隣に貼ってあった空手教室のチラシだったんだよ!もう少し体術とかできた方がKKの役に立てるかも、とか考えてさぁ」
「へ?」
KKが新聞から顔を上げて、ちょっと驚いたような変な顔でこっちを見ている。
「僕、体力はわりとあるし、何ならスポーツとか特にやってない割には体も動くほうだとは思うんだけど。悔しいけど、やっぱりちゃんと体の動かし方がわかってるKKには敵わないとこあるじゃん?」
「そうなのか?だったらなおさら、なんでンなことになってんだよ」
「それがさ、あの時のオカルトブロガーみたいな押しの強さでさぁ。往来だし人通りがそこそこあったから、あんまり押し問答もマズイかなって。話くらいは聞いてあげよっかな、って思っちゃって」
「だからなんでお前はそんなに押しに弱ぇんだよ」
KKに呆れられてムッとするも、
「俺ぁ、お前が心配だよ」
と言われたことがムカつくような、でも何となく嬉しいような、ソワソワした気持ちになる暁人。
と、そこまで幻視したものの、また中途半端に終わるという。筆力も根気も無さすぎる。
だれかオラに力をォ。