踊らにゃ損損3「今度さ、ハワイからクムが来るんだって」
夕食の後片付けをしながら、ソファで寛ぐKKに話しかける。
「あ、クムっていうのはね、」
「ああ、知ってるぜ。フラのお師匠だろ」
思わず皿を洗う手が止まる。
「だから前に言ったろ、昔嫁さんが習ってたんだって」
「あ、ほらでも本格的なやつかどうか知らなかったから」
何故か止まってしまった手を再び動かしながら、話を続ける。
「わりとガチのやつだったと思うぞ。クムが来日したら特別レッスン的なやつがあったみたいだったしな。なんつったっけな、ほらフラの教室のこと」
「……ハラウ?」
「あー、それだ。そのハラウ?のオハナフェスとかいうのもあったな」
「……ハラウは覚えてないのにオハナは覚えてるんだ」
「ああ、なんか日本語みたいだろ。それに息子が嫁さんと一緒にディズニーのアニメ見てたからな。あのヘンテコな青いヤツがしょっ中口にしてたしなぁ」
KKはぼんやり思い出に浸るように、煙草に火をつけて吸い始めた。
僕はまた自分でも理解できないモヤモヤした気持ちになる。しかも今日のは前に感じたモヤモヤより、なんだかちょっと胸が痛いような。
そんでもってそこまでガチでやるつもりじゃなかった暁人が、来日したクムの特別レッスンを受けて、さらにはステージにまで上がるようになるドタバタコメディ。
と、ここまで浮かんだけど続かないっていうね。
根気がほしい。