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    fgo_sawara

    @fgo_sawara
    小説あげるマン

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    吸血鬼の恋人(https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=15665104)のおまけ
    読後推奨である

    #ケイぐだ♀

    幸せな黒猫 起床と同時に、ご主人様の懐へと潜り込む。
     いつだって歓迎してもらえるから、遠慮なんてなかった。
    「おはよう。今日もお元気なようで何より」
     応えるようににゃあと鳴けば、それだけで彼は嬉しそうにしてくれる。
     にゃあにゃあと鳴きながら、ご主人様の胸板に肉球を押し付けた。右、左と交互に捏ねる。
     幸せな朝のルーティン。
     やがて朝食にしようと、彼が私を抱き上げた。
     
     人間にいじめられて怪我をして、路地裏で震えていた。
     偶然通りかかった彼に拾ってもらってからは、もうメロメロで仕方がない。
     最初はちょこっとだけ警戒したけど、甘いミルクを振る舞われてからはすっかり心を許してしまった。
     朝、一緒に起きて、ご飯を食べて。お昼寝したり、遊んだり。
     撫でてもらって、毛を解かしてもらって。お返しにたくさん舐めてあげた。
     彼は遠慮していたけれど。
     幸せだ。本当に、幸せだった。
     ……それでも終わりはやってくる。
     大好きな膝の上。大きな手に撫でられながら。
     どうにか鳴き声を絞り出してみても、その瞳の中の悲しみは増していくばかりだ。
     眠たい。目を閉じてしまいたかったけれど、ご主人様……いや、番のことを見つめていたい。
     低い声が私の名を呼ぶ。彼が私につけた名前だ。
     最期なんだな、と悟る。
     離れたくない。片時だって嫌なのに。
     拾われてからはずっと一緒だった。
     大きな手のひらの上で眠っていた時も、いずれ彼の手に乗り切らなくなって膝の上を定位置とした時も。離れて欲しいなどという素振りを微塵も見せなかった。
     置いて行ってしまう。私と同じで一人ぼっちだった愛しい主人を。
     私なんかが、その心にすっぽり入れてしまうほどの空虚を飼っていたあなたを。
     萌葱色を見つめながら祈る。
     もしも生まれ変わったら、彼と同じくらいに長生きできる生き物に。ずっと隣にいられるように。
     できれば、会話ができるといいな。
    「っ……」
     彼の指をちろりと舐めれば、番は息を呑んだ。
     大丈夫。いつか必ず、必ず帰ってくる。
     それまでに浮気したら許さないぞと、最後に甘く指を噛んだ。
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