永遠の幸せ「変な賭けに乗ってしまった……」
雑踏の片隅で一人ぽつりと呟く。
美味しいケーキ屋さんのタダ券が、人数分なかったせい。あと誰かがこの賭けを思いついてしまったせい。
(ナンパなんて無理だよ……)
一番いい男をナンパできた者が総取りだ!などと馬鹿げた提案に、ハイになっていた仲間たちは次々に手を挙げた。調子に乗って両手を掲げた自分が恨めしい。
そもそもついてくる人なんていないだろうし、いたらいたで変な人というか……。
「あれ?」
ぐるぐると考え込むうち、人気のない場所へ出た。無意識に逃げ出していたのだろうか。
視界の端に小さな社が映る。
「神社なんてあったんだ、お参りして行こうかな」
そうすればなんだか自分が清らかであるような気分になれる。
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