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    fgo_sawara

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    小説あげるマン

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    ケイぐだちゃんワンライお題「キス」

    #ケイぐだ♀

    せんせ、教えて?「ね、せんせ、大人のキスってどんな感じなの?」
    「……どうしました? 急に」
     ケイローンに与えられている部屋へ、いつものように滑り込んだ。
     そんな私に既に慣れてしまった彼は、特段気にした様子もなく机に向かう。本を読んだり書き物をしたり。いつもの鎧を脱ぎ捨てて寛いでいる。
     それが悔しくて、気を引きたくて。いつからかこんな問いかけを始めた。
     初めは、彼を少し困らせて満足していた。
     それでも教えてくれなかったり、わからないなどとは言わないものだから、段々と調子に乗っていった。
     無遠慮に座り込んだベッドの上、苦笑いを零した彼を挑戦的な瞳で見つめる。
    「気になっちゃったの、教えてくれる?」
    「……いいでしょう。貴女がそれを望むなら」
    「あっ」
     パタン、と本を閉じたケイローンが、立ち上がってベッドに近づく。
     そっと私を押し倒し、その上に覆い被さった。
    「やめるのなら、今のうちですが」
     作り物のように美しい顔だと、呑気に考えている。
     萌葱色に見惚れながら、こくりと頷いた。
     諦めたみたいに小さくため息を吐いた彼は、大きな手で私の輪郭をそっとなぞる。
     壊物みたいに触るから、くすぐったい。
    「……っ」
     彼の薄い唇が、私のそれに重なった。
     咄嗟に厚い胸板に手を這わせる。
     甘い接触に瞳を潤ませ、うっとりとこの時に浸った。
    「ん……ぅ、っ」
     ぬるりと唇を割り開いた彼の舌が、口内を無遠慮に探索する。
     お腹の奥がぞわぞわする気がして、無意識に内腿を擦り合わせていた。
    「ひぁっ……」
    「呼吸を止めず、鼻で息をしなさい」
    「んむぅ」
     舌と舌が触れ合った瞬間、ビクリと肩が跳ねる。
     萌葱色が愉しげに細められるのが、自分でも驚くほどに嬉しかった。
     言われた通りに懸命に息をしたけれど、酸欠のような心地は消えない。
     ぞり、ぞり、と舌同士を擦り合わせるのに、いつしか夢中になっていた。
    「せん……せ、っ、はぁ……きす、すご……い」
    「ふっ……お気に召しました?」
    「ん……ふぅ」
     後頭部を手で押さえ付けられ、逃げる気もないのに逃げられない。
     ぢゅっ……と音を立てて唾液を吸われると、腰の辺りが痺れて、下半身が動かなくなる心地がした。
    「はっ……んんっ、ぅ……ぁ」
     もう息も絶え絶えなのに、ケイローンは私を離してくれない。
     その胸を軽く叩いても、目尻に溜まった涙がついに零れ落ちても、綺麗な瞳はずっと私を見下ろしたままだった。
     大袈裟なまでに部屋に響く水音。一度も触れられていないのに、濡れそぼった身体の中心。
     お腹が疼いて堪らない。
     もしかしたらこのまま、もっと先に……。
    「……はい、もういいでしょう」
    「あ……」
     二人の間に伝った銀色の糸を断ち切った彼が、濡れた唇を拭いながら身を起こした。
     ベッドの上でひたすらに、足りない酸素を吸い込む。
     やめないで、もっと教えて。
     そう言ったら、彼は叶えてくれるだろうか。
    (舌、しびれてる……)
     すごくすごく、気持ちがよかった。
     最中は溺れているみたいで、苦しさすら感じたのに……終わってしまえば一瞬で熱が過ぎ去ったみたい。
    「ほら、着衣が乱れている……勘のいい者ならば気付いてしまいます」
    「あ……ぅ」
     ごめん、と呟こうとしたのに。出たのは意味のない言葉だった。
     舌がまだ、うまく動いてくれないのだ。
     それに気付いた彼は苦笑し、そっと私の手を引いて立ち上がらせてくれた。
     
     *******
     
     全く困ったマスターだ。
     小悪魔のようにこちらを翻弄して、天使のように笑う。
     それなのに本気で捕まえてしまおうかと思案した瞬間、突然無垢な少女に戻るのだ。
     ……しかし、あそこまでしたのだから、もうここには来ないだろう。
    「こんにちは」
     そんな予想を覆し、彼女は現れた。
     しかも、夜に。
    「どうしたのです? マスター……こんな夜分遅くに」
    「えへ、ごめんね……」
     あまりに無防備だ。
     布の薄い寝間着で、のこのこと男の部屋を訪ねるなんて。
     信頼は嬉しいけれど、少し厳しく言う必要がある。
     ……叱責の言葉は、潤んだ蜂蜜色に掻き消された。
     そっと部屋に踏み入った少女が、部屋の扉を自ら閉める。
     とてとてと私に近寄った小悪魔は、頬を赤らめながら微笑んだ。
    「せんせ……あ、赤ちゃんの作り方、教えてくれる?」
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