邂逅「ええっ⁉︎ 許嫁⁉︎」
「しー! しー‼︎ 声でかいって!」
放課後の教室には、何人か生徒が残っている。
そんな中友人と駄弁っていたのだけれど、つい余計なことまで喋りすぎたみたいだ。
「親が勝手に言ってるだけ……会ったことないし」
「すご……なんか漫画みたい……」
「そんなことないって! 何歳も年上みたいだし」
周りの目を気にして声をひそめる。机に頬杖をついて、なぜか目を輝かせる友人を見上げた。
「立香の旦那さんかぁ、どんな人だろう」
「だ、だから顔も知らないんだってば!」
好奇心とほんの少しの羨望の混ざった眼差しが、居心地が悪くて思わず座り直す。
この週末に、初めての顔合わせがあるということは伏せておいた。
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