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    EraiIkiteite

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    DONEオペラ!長い冬休みに入っていても、生き物相手の仕事なので休みであっても休みではないことはままある。エンジンシティ、ほのおジムの中にある幼体たちのいる部屋では、カブが一人で全てのポケモンの面倒を見ていた。今日以降は、年始の出勤日までボールの中で眠ってもらい年を越す。ジムトレーナーたちも先刻までは残っていたが、定時だからとカブが追い出した。情がうつったらつらいのは君たちだよ、と言い含めて休暇を取らせるものの、恐らくトレーナー達は皆、誰よりもカブ自身が、彼らに情を持って接していると知っている。
    「カブさん、ここにいたの」
    コンコン、ドアを開けてからノックしたのはキバナだった。待ち合わせの時間にはまだある筈だが、きっと彼の事だから待ちきれなくなって切り上げてきたのだろう。なんでも器用にそつなくこなす男なのだ。
    「遅くなっていてごめんね」
    「カブさんの悪いとこですよ、その残業癖」
    「そうだねぇ」
    でも、もう彼らの身繕いも終わるし、僕も帰るよ。キバナは既に冬用のコートにツイードのマフラーを巻いて出かける準備は万端である。これからカブの家でクリスマスからの年末年始休暇を過ごすことになっている。二人が恋人にな 1399

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    DONE夜を駆ける夜を駆ける

    寒いなぁ、コータス連れてきて正解だった、と鼻の頭を赤くして笑ったキバナに、カブはこの辺りだけでも温まるから助かるねと返す。ナックルシティの城門から少し離れた場所で並んで立って彼方を見る男が2人。顔を合わせた時はハッピークリスマス、年末までお疲れ様、と言い合った。随分と冷え込むのでカブは分厚いコートにキャンプウェアを合わせている。キバナも同じ。人間たちにはおのおの用事がある日だが、そんなことは野生のポケモンたちには関係の無いことで、だから毎年誰かがこうしてワイルドエリアの巡回に出なければならなかった。一昨年も、去年も、今年も、結果的に同じ面子になったのだが、流石に三年連続なので疑問になってカブはキバナに声を掛けた。
    「キバナくんは、家族と過ごさなくていいのかい?」
    ガラルのクリスマスといえば、家族の時間だといくらカブでも知っている。だからこそ余計に独り身の自分がこの役を買って出るのは当然と思っていたし、代わりにホウエン流の三ヶ日は休ませてもらうようになっている。勿論緊急事態であれば出動もあるが、オフシーズンのジムの仕事は殆どトレーナーたちに任せていた。
    キバナはというと、驚 1455

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    DONEワンドロライ『年の瀬』

    【年の瀬、フォーリングダウン】
    仕事でカウントダウンライブをする、というのが常になっている年の瀬だ。準備に追われ、スタッフも増員して、今年はそこそこ大きい箱でやる予定でいる。冬場は音楽業界のかきいれ時でもあるのでネズの周りは毎年慌ただしい。ホップからの連絡も、返せたり返せなかったりしていた。たまに自宅に帰って、死んだように眠り、マリィに呆れた様子で起こされ、食事をする。そしてシャワーを浴びてまた仕事、というのが風物詩だった。

    今日はシュートシティにある放送局で打ち合わせだった。そのままアーマーガアタクシーでスパイクタウンの近くまで送って貰うつもりだったが、局を出てすぐのロータリーでネズを待っていたアーマーガアは、タクシーの箱を下げていなかった。
    「……どうしたんですか」
    「マリィに予定聞いた。ダメだったか?」
    「……ダメじゃねえですけど、撮られますよ」
    「それはオレは嫌じゃないから」
    「そうですか」
    ネズさんのスマホにも連絡したけど、どうせ埋もれてるんだろうなって思ってた、とホップは眼鏡の奥でにやりと笑う。そんな悪い笑い方、誰がおまえに教えたのだろうと思ったけれど、多分ネズ自身だ。
    久しぶりに顔を見た。送ってく間だ 2317