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    Uts_moja

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    Uts_moja

    DONEねじさんにいただいたリクエスト『あなを見るドロ』(穴・孔・アナいずれもOK)のアンサーです。
    お互いの「あな」を見ています。嘘は言っていません。
    陥穽虫 事務所の壁に、穴が空いた。
     ある日突然空いていたものだから、どうせドラルクが何かやらかしたのだろうと思って、遠慮なく殺してやった。
     ところがやつは、何度殺しても、そんなものは知らないと言い張る。いつものふざけた態度でもなかったから、本当なのかもしれないと思って拳を止めると、ナスナスと復活してきたドラルクが、不思議そうに言った。
    「で、その穴はどこにあるんだい?」

     床下からヒナイチを呼び出して尋ねても、同じ答えが返ってきた。それで、これは俺にしか見えてないんだと分かった。
     穴は、小さくはなかった。穴というより、割れ目とか裂け目とか表現するほうが近いかもしれない。歪な形をした穴は、俺の手のひらよりちょっと大きいほどのサイズだった。それが、事務所の入り口側の壁、メビヤツがいる側と出入り口を挟んで、反対側に空いている。高さは、俺の肩あたりだ。わりに派手な大きさだから、外の廊下にまで貫通しているのではないかと確かめたが、廊下側の壁はきれいなものだった。それほど深いはずがない穴には、闇が詰まっていて、底も向こう側も見えなかった。
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    tsugu_tsugu1123

    MAIKING逆転ドラロナの甘いだけの話を書きたいなぁと思って・・・。ページ数すげーーーー少ないかもしれませんができたら本にしたい・・・書き上げられればの話ですが(弱気)年齢制限ありにするかなしにするかまだ迷っている。
    タイトルは以前やった診断メーカー様より。
    https://twitter.com/tsugu_tsugu1123/status/1382685882910662662?s=19
    はちみつよりも少し甘い 吹き抜ける夜風に目を細めて、ロナルドは乱れた銀髪を撫で付けた。
     眼下に広がるビルの谷間に視線を這わせ、「どこだ……?」と、呟く。
     夜と同じ色の漆黒のマントを風にはためかせながら地上を見渡し、目を凝らした。月明かりも人工の明かりも届かない暗闇に向かって、その隅々まで見逃すまいと気配を探っていると、ある路地の奥に蠢く影を見つけ、青い瞳がきらりと輝く。
     「いた!」
     一声叫ぶと同時にトン、と軽くビルの屋上を蹴って宙に身を投げ出す。ひゅうひゅうと風を切り裂いて落下しながら、四肢にざわざわと銀色の獣毛が生え、肉体の形が変形して行く。口元の牙はますます大きく尖り、頭には獣の耳が生え、腰からにょっきりと尻尾がつき出す。地面に降りるまでの一瞬の間に、ロナルドは一匹の狼に変身していた。
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