「……孔雀さん、しばらく近付かないでください」
「えっ!?」
孔雀は豆鉄砲を喰らった顔をして、手に持っていた資料をはらはらと床に落とした。
折鶴は孔雀を軽く睨みつけて、苦虫を噛み潰したような形容しがたい顔をした後に、逃げるように鷹野へ声を掛けて、部屋を出ていってしまった。
警察庁刑事局捜査第一課本部。
孔雀の仕事場兼簡易宿泊所。
オフィスの一角には孔雀の私物が散らかっており、折鶴はそれを踏まないように気を付けながら孔雀に近付いたかと思えば、唇をンッと絞めて、まるで寝起きにレモンを食わされた猫のような顔をして逃げた。
孔雀はクンクンと腕を嗅いで、匂いを確認した。確かにここ数日は忙しくてシャワーを浴びていないが、そこまで言われるなのか、と少し傷付いた顔をして、シャワーを浴びてない孔雀が悪いのに被害者のような素振りをした。
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