双子のプロム🧡💜プロム🧡💜
日が傾いた頃に浮き立つ足が次々とパティー会場に吸い込まれてゆく。着飾った生徒――いや卒業生たちが高揚した気分もそのままに彼らの未来の華々しさを魅せるように、或いは願うように飾り付けられた高校生活最後の祭りへと赴く。
シュウはいくつかの誘いを断ってプロムの会場を傍目に校舎を歩いていた。
人生が山と谷で出来ているという人がいるが、彼等の高校時代はまさに山の頂きと谷の底を行き来したようなものだった。
決して楽なものではなく、山の最果ては途方もなく寒く、谷の最奥は激流による歓迎が待っていた。長い目で見ればそんな苦難も笑えるものなのだろうか。
シュウはその長いまつ毛の影を頬に落として陽気な音楽を背に遠のく。プロムへの誘いを断ったのは「何となく」と「行かなくていいかな」と「僕だけ?」という理由だった。シュウが高校生活を続けていられたのは双子の兄弟がいたおかけであった。
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