とある病室にて柏木さんが昏睡状態になってから半年が経とうとしていた。
昨年の出来事で東城会の主要幹部が一気に去り、若い六代目を支えられる古参幹部は数少ない。
加え、風間組の吸収により組が大きくなった。柏木さんがよく躾していたおかげで想定よりも障害はなかったが、直参の組同士が合併すれば調整は必要だ。西田や東あたりにすべて任せるわけにもいかず俺が出るしかない。
既に精神的にも肉体的にもボロボロだ。
眼下で規則正しい呼吸を立てて眠る姿を恨めしく思う。
なぁ……
どんな怒りも哀しみも…時には劣情もあんたが抱き止めてくれた。どれだけ「柏木修」という存在に支えられてきたろうか。この世界に生きて心を許せる相手が兄弟以外にできるとは思わなかった。
せめて見守っててくれや……
緩くも固く閉じられた瞼にそっと口づけをして病室を出た。