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    Norskskogkatta

    @Norskskogkatta

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    Norskskogkatta

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    主くり♂くり♀のほのぼのバレンタイン
    料理下手なくり♀が頑張ったけど…な話
    バレンタインに主にチョコ作ろうとしたけどお料理できないひろちゃんなので失敗続きでちょっと涙目で悔しそうにしてるのを見てどうしたものかと思案し主に相談して食後のデザートにチョコフォンデュする主くり♂くり♀

    ##大倶利伽羅ハーレム

    チョコレートフォンデュ一人と二振りしかいない小さな本丸の、一般家庭ほどの広さの厨にちょっとした焦げ臭さが漂っている。
    執務室にいた一振り目の大倶利伽羅が小火になってやいないかと確認しにくると、とりあえず火はついていない。それから台所のそばで項垂れている後ろ姿に近寄る。二振り目である妹分の手元を覗き込めば、そこには焼き色を通り越して真っ黒な炭と化した何かが握られていた。
    「……またか」
    「…………」
    同年代くらいの少女の姿をした同位体は黙り込んだままだ。二振り目である廣光の手の中には審神者に作ろうとしていたチョコレートカップケーキになるはずのものがあった。
    この本丸の二振り目の大倶利伽羅である廣光は料理が壊滅的なのである。女体化で顕現したことが起因しているかもしれないと大倶利伽羅たちは考えているが、お互いに言及したことはない。
    「なにも今日でなくてもいいだろう。できるようになってから渡せばいい」
    「……そうだな。このままじゃ主に食べさせられない」
    平時は自分よりも表情変化の乏しい妹分のしょげた雰囲気に肩に手を置かないまでも、励ましをおくる。
    それから冷蔵庫から色とりどりのフルーツを取り出した。
    「これを切っておけ」
    「やたらと果物ばかりだな」
    「食後のでざーとだと言っていた」
    「主が買ってきたのか」
    首肯してから、大倶利伽羅は夕飯の支度に取り掛かる。廣光もただ切るならお手の物である。危なげのない手つきを横目にしながら食後の段取りを考える大倶利伽羅であった。

    さんにんの食事は卓袱台を囲んで一緒に食べることが決まりになっているが、今日は元から饒舌ではない廣光がことさら静かだ。審神者も大倶利伽羅から廣光がバレンタイン用のチョコレート菓子に失敗続きであるとこっそり報告を受けている。当日に驚かせたかったらしく、口止めされていると言うのも聞いていたので今日も上手くできなかったのかあと励ましたいのを堪えてきっちりと一汁三菜の和食を平らげた。今日は鰆の西京漬だった。閑話休題。
    「さて、美味い夕飯も食べたしデザートにするか」
    「果物だな、取ってくる」
    「俺が行く。あんたはそこにいろ」
    審神者がご馳走様と手を合わせ、頬杖をつきながら左隣の廣光に身を乗り出す。それにこくりと頷いて立ち上がろうとするのを大倶利伽羅が制止した。
    すべての食器を盆に乗せ部屋を出て行った一振り目に首を捻る。そうして審神者とふたりきりだと言うのに気まずさが二振り目の胸にのしかかる。
    「ひろ、今日は何の日か知ってるか?」
    「……知らない」
    「そうか、バレンタインっていってな、親しい人とか、恋人に甘ーいチョコレートをおくったりする日なんだが、顕現してから初めてだもんな」
    「慣れ合いじゃないのか」
    久々に聞く”大倶利伽羅”らしい台詞に審神者がぽかんと口を開けてから笑い出す。この本丸の大倶利伽羅二振りは好感度が突き抜けているので今更である。
    「そんなこと言わずに、いっしょに楽しんでくれると嬉しいんだがなあ」
    皺が出始めた目尻にたまった涙を拭いながら笑う審神者に廣光が怪訝そうに小首を傾げるのと大倶利伽羅が戻ってくるのはほぼ同時だった。
    「そら、持ってきたぞ」
    「にいさん、それ」
    「あんたがさっき切った果物だ」
    「んで、こっちはチョコレートな。好きなの選んで串にさして、こうやってつけて食うんだ」
    小粒のイチゴを柄の長いフォークの先に突き刺し、温められているチョコレートの中につける。くるりとまぶして引き上げられたのはたっぷりとチョコレートをまとったイチゴだった。
    「ほらひろ、あーん」
    「は、なに、んむ」
    状況が飲み込めていない廣光の口が開いたすきにそっと審神者が差し込む。ぱくりと反射で食べてしまう。ミルクチョコレートの甘さとイチゴの甘酸っぱさがじゅわりと広がる。ぱちぱちと金色を縁取る睫毛が瞬く。
    「おいしいかい?」
    「……おいひい」
    「ならよかった。これ、俺と兄ちゃんからのバレンタインチョコな」
    「なんで……」
    「んー? 渡したかったからだなあ。嬉しくないか」
    ふるふると廣光の髪先が舞う。なら良かったと審神者が笑うのと対照的に廣光の表情が陰る。猫の耳があったなら、ぺしょんと横になっていたかもしれない。
    「おれもあんたに渡そうと思った。だが上手くできなくて用意出来なかった……」
    「そっか、来年に期待だな」
    審神者がわしわしと廣光の猫っ毛をかき混ぜる。ふたりのやり取りを見ながら大倶利伽羅もフォークにパイナップルを刺してチョコレートに潜らせる。それを廣光のほうに無言でさしだし、廣光も無言で口に入れた。
    「美味いか」
    「美味い」
    端的なやり取りだが、これが一振り目から二振り目へのバレンタインチョコらしい。どちらも楽しそうだと審神者は眺めていた。
    その後は、審神者の膝に乗った廣光がお返しとばかりにいろいろな果物にチョコレートをつけては審神者や一振り目に差し出し、初めてのバレンタインはチョコフォンデュパーティーとなった。
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    Norskskogkatta

    Valentine主くり♂くり♀のほのぼのバレンタイン
    料理下手なくり♀が頑張ったけど…な話
    バレンタインに主にチョコ作ろうとしたけどお料理できないひろちゃんなので失敗続きでちょっと涙目で悔しそうにしてるのを見てどうしたものかと思案し主に相談して食後のデザートにチョコフォンデュする主くり♂くり♀
    チョコレートフォンデュ一人と二振りしかいない小さな本丸の、一般家庭ほどの広さの厨にちょっとした焦げ臭さが漂っている。
    執務室にいた一振り目の大倶利伽羅が小火になってやいないかと確認しにくると、とりあえず火はついていない。それから台所のそばで項垂れている後ろ姿に近寄る。二振り目である妹分の手元を覗き込めば、そこには焼き色を通り越して真っ黒な炭と化した何かが握られていた。
    「……またか」
    「…………」
    同年代くらいの少女の姿をした同位体は黙り込んだままだ。二振り目である廣光の手の中には審神者に作ろうとしていたチョコレートカップケーキになるはずのものがあった。
    この本丸の二振り目の大倶利伽羅である廣光は料理が壊滅的なのである。女体化で顕現したことが起因しているかもしれないと大倶利伽羅たちは考えているが、お互いに言及したことはない。
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    Norskskogkatta

    PAST主肥/さにひぜ(男審神者×肥前)
    主刀でうさぎのぬいぐるみに嫉妬する刀

    おじさん審神者がうさぎのぬいぐるみに向かって好きっていってるのを目撃した肥前
    とうとう買ってしまった。刀剣男士をイメージして作られているといううさぎのぬいぐるみの、恋仲と同じ濃茶色に鮮やかな赤色が入った毛並みのものが手の中にある。
    「ううん、この年で買うにはいささか可愛すぎるが……」
    どうして手にしたかというと、恋仲になってからきちんと好意を伝えることが気恥ずかしくておろそかになっていやしないか不安になったのだ。親子ほども年が離れて見える彼に好きだというのがどうしてもためらわれてしまって、それではいけないとその練習のために買った。
    「いつまでもうだうだしてても仕方ない」
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    「……邪魔したな」
    「ま、待っておくれ!」
    肥前くんに見られてしまった。くるっと回れ右して去って行こうとする赤いパーカーの腕をとっさに掴んで引き寄せようとした。けれども彼の脚はその場に根が張ったようにピクリとも動かない。
    「なんだよ。人斬りの刀には飽きたんだろ。その畜生とよろしくやってれば良い」
    「うっ……いや、でもこれはちがうんだよ」
    「何が違うってん 1061

    Norskskogkatta

    PAST主くり
    リクエスト企画で書いたもの
    ちいさい主に気に入られてなんだかんだいいながら面倒を見てたら、成長後押せ押せでくる主にたじたじになる大倶利伽羅
    とたとたとた、と軽い足音に微睡んでいた意識が浮上する。これから来るであろう小さな嵐を思って知らずため息が出た。
    枕がわりにしていた座布団から頭を持ち上げたのと勢いよく部屋の障子が開け放たれたのはほぼ同時で逃げ遅れたと悟ったときには腹部に衝撃が加わっていた。
    「から! りゅうみせて!」
    腹に乗り上げながらまあるい瞳を輝かせる男の子どもがこの本丸の審神者だ。
    「まず降りろ」
    「はーい」
    咎めるように低い声を出しても軽く調子で返事が返ってきた。
    狛犬のように行儀よく座った審神者に耳と尻尾の幻覚を見ながら身体を起こす。
    「勉強は終わったのか」
    「おわった! くにがからのところ行っていいっていった!」
    くにと言うのは初期刀の山姥切で、主の教育もしている。午前中は勉強の時間で午後からが審神者の仕事をするというのがこの本丸のあり方だった。
    この本丸に顕現してから何故だか懐かれ、暇があれば雛のように後を追われ、馴れ合うつもりはないと突き離してもうん!と元気よく返事をするだけでどこまでもついて来る。
    最初は隠れたりもしてみたが短刀かと言いたくなるほどの偵察であっさり見つかるのでただの徒労だった。
    大人し 1811

    Norskskogkatta

    MOURNING主くり
    極になって柔らかくなった大倶利伽羅に宣戦布告する片想いしてる主
    ポーカーフェイスの君にキスをしよう


    「大倶利伽羅」

    ひとつ呼ぶ。それだけで君は振り向いて、こちらを見てくれる。
    それだけでどうしようもなく締め付けられる胸が煩わしくて、ずたずたに切り裂かれてしまえとも思う。

    「なんだ」

    いつもと変わらぬ表情で、そよ風のように耳馴染みの良い声がこたえる。初めて顔を合わせた時より幾分も優しい声音に勘違いをしそうになる。
    真っ直ぐ見つめる君に純真な心で対面できなくなったのはいつからだったっけ、と考えてはやめてを繰り返す。
    君はこちらのことをなんとも思っていないのだろう。一人で勝手に出て行こうとした時は愛想を尽かされたか、それとも気づかれたのかと膝から力が抜け落ちそうになったが、4日後に帰ってきた姿に安堵した。
    だから、審神者としては認めてくれているのだろう。
    年々距離が縮まっているんじゃないかと錯覚させるような台詞をくれる彼が、とうとう跪座までして挨拶をくれた。泣くかと思った。
    自分はそれに、頼りにしていると答えた。模範的な返しだろう。私情を挟まないように、審神者であることを心がけて生きてきた。

    だけど、やっぱり俺は人間で。
    生きている限り希望や 1288

    Norskskogkatta

    MOURNINGさにちょも
    ちょもさんが女体化したけど動じない主と前例があると知ってちょっと勘ぐるちょもさん
    滅茶苦茶短い
    「おお、美人じゃん」
    「呑気だな、君は……」

     ある日、目覚めたら女の形になっていた。

    「まぁ、初めてじゃないしな。これまでも何振りか女になってるし、毎回ちゃんと戻ってるし」
    「ほう」

     気にすんな、といつものように書類に視線を落とした主に、地面を震わせるような声が出た。身体が変化して、それが戻ったことを実際に確認したのだろうかと考えが巡ってしまったのだ。

    「変な勘ぐりすんなよ」
    「変とは?」
    「いくら男所帯だからって女になった奴に手出したりなんかしてねーよ。だから殺気出して睨んでくんな」

     そこまで言われてしまえば渋々でも引き下がるしかない。以前初期刀からも山鳥毛が来るまでどの刀とも懇ろな関係になってはいないと聞いている。
     それにしても、やけにあっさりしていて面白くない。主が言ったように、人の美醜には詳しくはないがそこそこな見目だと思ったのだ。

    「あぁでも今回は別な」
    「何が別なんだ」
    「今晩はお前に手を出すってこと。隅々まで可愛がらせてくれよ」

     折角だからなと頬杖をつきながらにやりとこちらを見る主に、できたばかりの腹の奥が疼いた。たった一言で舞い上がってしまったこ 530

    Norskskogkatta

    MOURNING主くり
    伊達組にほのぼのと見守られながらのおやつタイム
    伊達組とおやつ


     ずんだにおはぎに色とりどりのフルーツがのったタルト、そして一等涼しげな夏蜜柑の寒天がちゃぶ台を賑わせる。
     今日は伊達の四振りにおよばれしてのおやつタイムとなった。
     燭台切特製のずんだに意外とグルメな鶴丸の選んできた人気店のおはぎ、太鼓鐘の飾りのようにきらきらと光を反射するフルーツののったタルトはどれも疲れた身体に染みるほどおいしいものだった。
     もっと言えば刀剣男士達とこうしてゆっくり話ができるのが何よりの休息に思う。
     本丸内での面白エピソードや新しく育て始めた野菜のこと、馬で遠乗りに出かけたこと、新入りが誰それと仲良くなったことなど部屋にこもることが多い分、彼らが話してくれる話題はどれも新鮮で興味が尽きない。
     うん、うんと相槌を打ちながら、時折質問をして会話を楽しんでいると、燭台切がそういえばと脈絡無くきりだした。
    「主くんって伽羅ちゃんに甘いよね」
     それぞれもってきてくれたものに舌鼓をうって、寒天に手を着ける前にお茶を口に含んだ瞬間、唐突に投げられた豪速球にあやうく吹きかけた。さっきまで次の出陣先ではなんて少し真面目な話になりかけていただけに衝撃がす 2548