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    流菜🍇🐥

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    TF主ルチが愛してるゲームをするだけの話です。部分的にルチが優位を取ってます。

    ##TF主ルチ

    愛してるゲーム「ねぇ、愛してるゲームって知ってる?」
     そう尋ねると、ルチアーノは怪訝そうな顔をした。疑念を込めた瞳で僕を見ると、呆れぎみな声で言う。
    「愛してるゲーム? なんだよ、それ。俗世の娯楽ってやつか?」
     もう既に、僕の考えは見透かされているようだった。ルチアーノに隠しごとなどできない。覚悟を決めると、ゲームの内容を伝えた。
    「愛してるゲームって言うのは、相手に愛を伝えるゲームなんだよ。向かい合って交互に『愛してる』を伝えていって、照れた方が負けになるんだ」
    「なんだそれ。下らない遊びだな」
     呆れたように言うと、ルチアーノは目を細めた。僕にじっとりとした視線を向け、冷めた声で言う。
    「君、僕とその娯楽を試したいとか言うつもりかい?」
     そうですとは、到底言える雰囲気ではなかった。黙って目を逸らすと、ルチアーノは呆れ顔を見せる。
    「図星かよ。全く、何考えてるんだか」
    「だって、ルチアーノはあんまり愛してるって言ってくれないでしょ? たまには、僕にも言ってほしいんだよ」
     そう言うと、ルチアーノは明らかに顔を顰めた。顔を至近距離まで近づけると、低い声で言う。
    「そんなの、わざわざ言うようなことじゃないだろ。君は、僕の気持ちを疑うつもりかい?」
    「そうじゃないけど……」
    「だったら、この話は終わりだな」
     そう言うと、彼はようやく顔を離した。怒っている時のルチアーノは、子供とは思えないほどの圧がある。少し心臓がドキドキしていた。
     ルチアーノは小さく鼻を鳴らすと、ソファから立ち上がった。どこかに移動しようとしているらしい。このまま逃がすわけにはいかなかった。
    「もしかして、ルチアーノは負けるのが怖いの?」
     そう告げると、彼の横顔がピクリと揺れた。表情の控えめになった顔が、ゆっくりとこちらへと向けられる。
    「そんなわけ無いだろ。勝負で僕が負けることなんてないんだから」
     思った通りだ。彼は、煽られることに弱いのだ。こういう言葉を口に出せば、絶対に乗ってくれると思った。
    「じゃあ、やってくれるよね。愛してるゲーム」
    「いいぜ。……そのかわり、ひとつ条件がある」
     ルチアーノは言う。既に僕の要望を通しているのだ。ここは、彼の要望も聞くべきだと思った。
    「何?」
    「ルールに追加してくれ。負けた方が勝った方の言うことを聞くって」
    「いいよ。絶対に負けないから」
     正直、僕には自信があったのだ。ルチアーノは、愛の言葉が苦手だ。愛してると告げられる度に、頬を赤くして照れている。この勝負だったら、絶対に勝てると思ったのだ。
    「言質は取ったぞ。……負けて泣いても知らないからな」
     それはこっちのセリフだ。思ったけど、何も言わなかった。理由は分からないが、彼には自信があるらしい。
    「じゃあ、僕からいくね」
     そう言うと、僕はルチアーノに向かい合った。綺麗な緑の瞳を真っ直ぐに捉えると、真剣な声を意識して言う。
    「愛してる」
     渾身の一言だった。少し恥ずかしいが、表情に出さないように意識する。悟られてしまったら、僕は負けにされてしまう。
     ルチアーノは、一切表情を変えなかった。いつもの照れはどこへやら、にやにやと笑いながら僕を見ている。じっくり観察するが、照れ隠しをしている様子はない。
     どうやら、僕の攻撃は不発だったようだ。脱力して視線を逸らすと、ルチアーノはからかうように言った。
    「なんだ。それだけかよ。いつもと変わらないじゃないか」
    「いつもは、これでも照れてるでしょ」
     抗議の言葉を返すと、ルチアーノは僅かに顔を歪める。視線を揺らめかせると、反論するように言った。
    「それは、君が変なことをするからだろ」
     確かに、ルチアーノが照れているときは、大抵がスキンシップの最中だ。ただ言葉で言われただけでは、恥ずかしくも何ともないのだろう。
     誤算だった。僕は、言葉を伝えるだけで照れてくれることを期待していたのだ。この後のことなど考えていない。
    「今度は、僕の番だな」
     そう言うと、ルチアーノはゆっくりと身体を動かした。ソファから立ち上がると、僕の隣へと移動する。そのまま、不意打ちで僕を押し倒した。
    「!?」
     困惑する僕を押さえ付け、顔を近づける。息がかかりそうなほどの近距離だった。触覚のような髪が顔に触れる。
     ルチアーノは、真っ直ぐに僕を見つめていた。表情にいつものような笑みは無く、凛凛しい顔をしている。僕の身体を両手で押さえると、いつもよりも少しだけ低い声でこう言った。
    「愛してるよ」
     反則だった。普段からは想像もできない仕草に、心臓がドクドクと鳴る。恥ずかしくて、思わず視線を逸らした。
     ルチアーノは、ゆっくりと僕から顔を離した。勝ち誇ったように笑うと、頬を赤く染めた僕を見下ろす。
    「君、照れてるだろ。僕の勝ちだな」
     納得がいかなかった。こんな方法で勝ちを宣言するなんて、反則だ。僕は、真面目に言葉だけで伝えてたのだから。
    「待ってよ。こんなの反則でしょ。こんなことされたら、誰だって照れるよ!」
    「君は、反則があるなんて言わなかっただろ。僕の勝ちなんだ。とっとと認めろよ」
    「だって、そんなのってないでしょ!」
     僕は意地になっていた。このまま、勝ちを認めるわけにはいかない。予想もしていないことをされたのなら、誰だって照れるのだ。こんなの勝負ですら無いと思った。
    「勝負なんだから、どんな手を使っても勝った方が勝ちだ。それが、戦場のルールだろ」
    「戦場って……」
     ルチアーノに押しきられ、僕は言葉を失った。そこまで言われたら、もう何も言い返せない。
     ルチアーノは僕の上から下りた。服をはたいてしわを伸ばすと、にやにやと笑いながら言う。
    「このゲームは、君の負けだよ。言うこと聞いてもらうからな」
     どうやら、僕に逃げる手段はないらしい。最初に、条件を飲んでしまったのだ。大人しく従うしかなかった。
     ルチアーノは、やっぱり小悪魔だ。にやりと笑う彼の姿を見ながら、僕はそう思うのだった。
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