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    流菜🍇🐥

    @runayuzunigou

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    TF主ルチ。ルチの下着が見えてることを指摘できないTF主くんの話。ただのアホなギャグなのでエロはありません。

    ##TF主ルチ

    下着 町を歩いていると、背後から声がした。
    「やあ、○○○。奇遇だね。どこに行くんだい?」
     もう何度聞いたか分からない、聞き慣れた声だった。耳を貫くように高くて、でも、どこか低くも感じる、不思議な声だ。確信を持ったまま、僕は後ろを振り向いた。
    「!?」
     挨拶をしようとして、言葉を失ってしまった。ルチアーノは、見慣れない格好をしていたのだ。セーラー服をモチーフにしたブラウスに、ゆるっとしたショートパンツを履いている。その服は、僕が以前にあげたものだった。
     ぽかんとする僕を見て、ルチアーノが楽しそうに笑った。からかうような声色で、彼は言葉を続ける。
    「どうしたんだよ。そんな間抜けな顔して。口が開いてるぞ」
    「だって、その服……!」
     びっくりして言葉が出なかった。自分で渡しておいてこう言うのも変なのだけど、着てもらえるとは思わなかったのだ。
    「もちろん、君からもらった服だよ。まさか、着てくれるとは思わなかった、なんて言わないよな」
    「そんなことないよ。着てくれてうれしい」
     繕うように言うが、ルチアーノをにやにや笑いながら見つめてくる。全てを見透かすような瞳に、思わず視線を逸らした。
    「まあいいや。今日の僕は暇なんだよ。君に付き合ってやってもいいぜ」
     にやにやと笑いながら、ルチアーノは僕の手を取った。女の子のような格好のルチアーノに抱き付かれて、心臓がドキドキした。
    「大した用事じゃないけど、いいの?」
    「いいよ。暇潰しにはなるだろ」
     どうやら、ルチアーノは僕と一緒に出かけたいらしい。腕を握り返すと、僕は繁華街へと歩を進めた。

     僕の用事は、要約するとただの買い物だった。お世話になった人たちに、お礼の品を渡そうと思ったのである。デパートの地下で箱入りのお菓子を買うと、すぐに用事は終わってしまった。
    「もう終わりかよ。せっかくだから、商店街も見に行こうぜ」
     紙袋を持って外に出ると、ルチアーノはそう言って僕を引っ張った。なんだか、妙に積極的だ。服装のせいだろうか。
    「いいけど、どこに行くの?」
    「そんなの、向こうで決めたらいいだろ。ほら、行くぞ」
     ルチアーノに手を引かれて、炎天下の町に引っ張り出される。商店街までは、ここから歩いても十五分はかかるのだ。目的地に着く頃には、僕は汗びっしょりになっていた。
    「着いたな。早速、服を選びに行くぞ。君は、僕の恋人なんだから」
     甲高い声で捲し立てながら、ルチアーノは僕を引っ張る。しっかりと腕を組まれて、僕は身動きがとれなくなった。
    「ちょっと待って。どこかでジュースを飲んでもいい?」
     僕は慌てて言った。喉がカラカラで、今にも干からびそうだ。こんな状態では、彼の恋人ごっこには付き合えない。
    「仕方ないなぁ。分かったよ」
     面倒臭そうにルチアーノは言う。彼としっかり腕を組んだまま、僕は飲み物の売店を探した。
     少し歩いたところに、レモネードのお店があった。流行りの店舗らしく、屋台の前には人が並んでいた。
     僕は、定番のレモネードを買った。せっかくだから、ルチアーノの分も一緒に買う。二人分のカップを持って、ルチアーノの待つベンチに向かった。
    「はい。これはルチアーノの分」
     僕が言うと、彼は眉をハの字にして僕を見上げた。レモネードを一瞥すると、冷めた声で言う。
    「別に、そんなもの頼んでないよ」
    「僕が買ってあげたかったんだ。ルチアーノは、僕の恋人だから」
     さっき投げられた言葉をそのまま返すと、彼は恥ずかしそうに黙りこんだ。手を伸ばしてもうひとつのカップを受け取る。小さく鼻を鳴らすと、ベンチの上で胡座をかいた。
     僕はレモネードに口を付けた。酸っぱくて、ほんのりと甘い液体が喉の奥に流れ込む。身体の温度が下がって、生き返る心地がした。
     一息着くと、僕はベンチに腰をかけた。Tシャツをパタパタと揺らして風邪を送りながら、ルチアーノに視線を向ける。視界に飛び込んできたものを見て、レモネードを吹き出しそうになった。
     ルチアーノは、胡座をかいて座っている。それだけなら別にいいのだが、その服装での胡座には問題があったのだ。柔らかい生地で作られたゆったりとしたズボンは、足の動きに合わせて動いてしまう。何が言いたいのかと言うと、今のルチアーノは、ズボンが際どいところまで捲れ上がっていたのだ。
     僕は慌てて視線を逸らした。捲れ上がったズボンの裾からは、ちらりと下着が覗いている。覗いているところから察するに、今日の下着は白いボクサーパンツらしかった。
     心臓を落ち着かせるために、レモネードを喉に流し込んだ。再び視線を向けるが、やっぱり下着は覗いている。際どい光景に、心臓が跳ねるような心地がした。
     これは、伝えるべきだろうか。普通に考えたら、教えて直してもらうべきだろう。下着が見えていたら心臓に悪いし、通りがかった人もびっくりしてしまうだろう。絶対に言うべきだ。
     しかし、僕には懸念があったのだ。ルチアーノはプライドが高くて、態度の割りに恥ずかしがりやなのである。下着が見えているなんて言ったら、返り討ちにあってしまうかもしれない。
     そんなことを考えていると、ルチアーノは怪訝そうな顔をした。真っ直ぐに僕を見て、いぶかしむように尋ねる。
    「なんだよ。ちらちらこっちを見たりして、何か付いてるのか?」
    「いや、なんでもないよ」
     言えるわけがなかった。言葉を飲み込んで、ジュースを口に運ぶ。なんとか、誤魔化すための言葉を探していた。
     しかし、ルチアーノは目敏いのだ。冷めた目で僕を見つめると、凄むような声を出す。
    「君、何か隠してるだろ。とっとと白状しないと、痛い目に遭うぜ」
     こうなったら、後はご機嫌斜め一直線だ。言ったら返り討ちに遭うし、言わなくても痛い目に遭ってしまう。どちらかを選ぶしかなかった。
     僕は覚悟を決めた。レモネードで口を潤わせると、ルチアーノに向き合う。
    「あのさ、怒らないで聞いてほしいんだけど……」
     それから先は、なかなか出てこなかった。もじもじしている僕を見て、ルチアーノが焦れたように急かす。
    「なんだよ。早くしろよ」
    「その、下着が見えてる…………」
     彼は、静かに足元に視線を向けた。自分の置かれている状況を見て、頬を真っ赤に染める。レモネードをベンチの上に置くと、両手で僕の身体を叩いた。
    「そういうのは早く言えよ!」
     僕は両手を構えて攻撃を受け止める。こうなることは分かっていたが、やっぱり理不尽な気分だ。あまり手加減をしていないようで、叩かれた場所がじんじんと痛んだ。
    「だって、ルチアーノが嫌がると思ったから……」
    「そういう問題じゃないだろ! こんなの、みっともないじゃないか。もしかして、僕の下着を見て楽しんでたのか?」
    「違うよ! 違うんだって!」
     必死に弁明するが、聞き入れてはもらえなかった。気が済むまで、何度も何度も叩かれる。手が止まると、僕はようやく体制を直した。
    「せっかく教えてあげたのに……」
    「何が教えてあげた、だよ。下着ばっか見てたくせに!」
     ルチアーノは恥ずかしそうに言う。その横顔は、ほんのりと赤く染まっていた。
    「それは、ごめん」
     小さな声で言うと、僕はレモネードの残りを啜った。気まずかったのか、ルチアーノもレモネードに口をつける。座り直した彼は、普通の座りかたをしていた。
     ジュースを飲み終えると、ルチアーノは空になった容器を捨てた。ベンチから立ち上がると、黙って僕に手を差し出す。
    「飲み終わったな。行くぞ」
     僕も、ルチアーノの手を取った。二人で手を握って、商店街へと歩み出す。
     ルチアーノは、下着を見られることを恥じらうのだ。彼の意外な一面に驚きながら、僕は商店街の奥へと進んだ。
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    kinokohaus

    TRAINING明治軸ではカップリングはありません。
    以前に書いた話の明治軸の『朔』と同じ世界線の二人です。これだけで読めますが、続きの現パロは月鯉になっている為ご注意下さい。またここでは出ませんが将来鯉登は妻子を持ちます。月島とは恋愛とは異なる関係で強い絆を築いていきます。その過程(未完)です。この話の中では妻子は影も形もありません。よろしくお願いします。
    ざざっと書いた練習作です。
    彼の人物について(仮タイトル) 石油ランプの灯る文机の前で、鯉登は一人、万年筆を握っていた。ペラリと紙の綴りを一つめくり、ぶつぶつ唱えながら書きつけていく。

     例の戦闘行為が中央に対する謀反ではなく露國パルチザンの攻撃による五稜郭および函館の防衛のための出撃であったと結論づけられ、ようやく連隊内が落ち着きを取り戻したころ。
     鯉登も月島もやっと中央の追求の手から逃れ、通常通りの日々を取り戻しつつあった。
    停年進級の時期を控え、鶴見中尉の抜けた穴は埋まらぬまま、鯉登は小隊長として、自分の小隊の考課表を作成するため自宅の文机を前に所属の人員に付いて一人一人、評定を記入していた。
     考課表には入隊からの成績やそれまでの上司からの考課が至極完結に記されている。それらを読み返しながら、あの一等卒の良いところ、この二等卒のこれからに付いて書き連ねる。
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