Yes,Yes シルクのパジャマに袖を通しナイトガウンを手に取った瞬間左馬刻から電話がかかってきた。
「よぉ、じゅーと。明日休みっつってたよなぁ」
「あぁ」
「今から酒持って行くわ」
「いや……」
「んだよ。まだ仕事中か?」
「いや、もう自宅だ。左馬刻。悪いが明日は買い物に行く予定があるから酒には付き合えない」
「買い物?」
「あぁ。悪いな」
「ふーん……。分かった。じゃぁな」
唐突に通話は切られた。
ビジー音が耳に痛い。だが左馬刻の声色は怒っている風でもなかった。
機嫌を損ねないように。尚且つ誤解を与えないように。慎重に断ったはずだったが。
一から十まで説明した上で断らないと左馬刻は引かないのだと、早朝のインターフォン連打で俺は思い知った。
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