つるみか無配「きみ、一体何処で何をしていたんだい?」
鳥が囁き厨当番や畑当番の刀たちが起きる頃。とある事情で朝帰りをした三日月宗近は、自身の部屋の前で鶴丸国永に胸倉を掴まれていた。
「なに、少々、野暮用、だな」
下から持ち上げられ、若干息が苦しい。だが、離してほしいとは言えない雰囲気である。そもそも、鶴丸の怒りに、三日月は心当たりがなかった。
「野暮用、ねェ。何処ぞの鶴丸国永を引っ掛けてよくもまあ俺の前に出てきたもんだ」
「……それは、すまない」
確かに、今の三日月はこの本丸の刀ではない鶴丸の気配をさせている。鶴丸からすれば、自分であって自分ではない気配を纏った三日月が本丸内を歩き回ろうものなら、誤解されてしまうと思うに違いない。
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