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    _yato_stella

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    ツイステ夢小説
    イド×夢主
    【Remember you even in death.】

    Epilogu《伝えたい想いが溢れて止まないけれども、言葉には出来ないのが愛でした。》

    もうすぐ、新入生がやってくる季節が来た。
    「〜♪」
    「ヒトデちゃん、ご機嫌じゃん」
    オクタヴィネル寮の二人部屋。
    本来なら同室の相手がいるはずのその部屋は、セキュリティの面を考慮した前任寮長と後任のアズールからの申し出により、今現在はステラの一人部屋になっている。
    いつか、後輩に女生徒が来た時は二人部屋になる。片方の空きベットは今も空席のままだ。
    新入生の中にステラと同様特待生として入学する女生徒がいるかもしれない。もしかしたら、また1年空席のままかもしれないが。
    せめて次の生徒が来るまでは、と定期的にステラはベッドメイクをしている。
    そんな今は、ステラの一人部屋に頻繁に遊びに来るのはジェイドとフロイド。時々、アズールが来ることもあるが突飛な要件や面倒事、はたまた4人で試験対策をする時程度だ。どちらかと言えばステラがアズールの一人部屋、双子の二人部屋に行くことの方が多いのだが。
    今は新学期に向けた休暇中。寮生も里帰りしていたり、思い思いに過ごしている。
    ステラも数日間実家に戻っていたが、ちょうど昨日寮に戻ってきたところだった。
    彼女は一般の寮生と変わらない立ち位置だが、ラウンジのことはもちろん、寮長・副寮長たちの補佐として何かとやることは多い。2年に進級が決まった時、アズールは“来年度からステラが行っていた不定期のイベントを定期イベントにしましょう!”などと完全に金に目の眩んだ提案を渋々飲むことにしたのだが、今回はその準備も兼ねていた。
    書類や企画書が置かれる机の上に、ダイヤモンドリリーを生けた花瓶を飾りながらステラは鼻歌交じりの歌を歌う。
    「フロイド…とジェイドもいたの」
    「今の歌…聞き覚えがありますね」
    「…ふふ」
    すぅ、と息を吸い込むと、鼻歌だったその歌の言葉の羅列をなぞる。

    《色褪せない。今日世界が滅びたって、君に出会えてとても後悔してる。
    切なさの無限ループ。約束しよう。
    とりあえず、じゃぁね。》

    「…覚えてる?」
    軽く象徴的な歌詞をワンフレーズ歌うと、ステラはジェイトとフロイドに向き直る。
    この歌は、3人にとって、出会って別れるまでの間、言葉が通じないながらも一緒に奏でた音だ。人間の歌詞が分からない二人はその戦慄だけ真似ていた。
    これは、なんてことない流行りでさえない歌。ステラの姉が好んで聞いていた物だが、ステラはその歌詞を気に入ったのか歌詞の意味なども分からぬまま覚えていた曲。
    「覚えてますよ」
    「人間の言葉はわかんねーけど、この音だけは覚えてたもん、俺たち」
    《どうしてだろう、ほら、………》
    フロイドが、
    《気づいてしまった、探していた答えは…》
    ジェイドが続く言葉を繋げる。所々鼻歌が交じっているのは、まだ人語を理解していなかった頃に二人が聞き覚えた部分なのだろう。
    ステラは嬉しいやら、どれだけこの詩を一つ覚えのように歌っていたのか、と少し複雑な気持ちになる。もう少し他の歌も覚えておけばよかったな、と思ったがこれしか覚えてなかったからこそ思い出深いものになったのだろう、と理解した。
    そんななんとも言えない表情を浮かべるステラに気付いたフロイドが背後からステラに抱きついた。
    「忘れたら二度と会えね〜とおもってた」
    「貴方との想い出ですから」
    「…ホント、人魚の恋は一途なのね」
    付き合い始めてから様々なことを知った。一年の頃に起きた誘拐事件から更に武道に精進するステラだったが、それ以上にこの二人の方が暴力沙汰には長けている。負けず劣らずのステラだったが、彼らが現れようものなら、逆に二人を止める方に必死になったものだ。三人揃ってアズールからお説教をされることも少なくなかった。
    「ステラ!失礼しま…お前たち!ここにいたのか」
    ステラの部屋をノックして、アズールが顔を覗かせる。寮内を歩き回っていたのか、少し呼吸が乱れている気がする。ステラに向けた視線は、ステラに抱きついたままのフロイドとジェイドに、移ると、少し不機嫌そうに眉を顰めるアズール。
    さっき部屋に来たばかりなんだけど、とステラが呟くとほんとうにどこに居たんだ……とアズールが肩を竦める。
    アズールの手には分厚い書類の束がきっちり揃えられている、
    「さぁ、ラウンジで会議の時間です。行きますよ」
    「えー!会議とかダリィ〜」
    「はい、仰せのままに」
    アズールの掛け声と共に、ステラから離れたフロイドが悪態をつきながらドアへ向かう。
    その後を追うようにジェイドが返事をした。前を行く三人と少し距離を置いて、ステラがその背中を見つめる。わいわいとアズールにちょっかいをかけるフロイドと、止めることもしないジェイド。文句を言うアズールの、何気ないこのやり取りを三人の一歩後ろから見るのがステラのお気に入りのポジションだった。
    愛しい人、大事なもの。今、ステラが手放したくないものだった。
    「ステラさん?」
    「何かあった?」
    「置いていきますよ」
    「ううん、なんでもない!」
    背後にあるはずの気配が遠く、三人が振り返った。いつもの距離にステラがいなければ、ジェイドとフロイドが立ち止まる。その数歩先でアズールが振り返った。
    ジェイドとフロイドが手を差し伸べると、ステラはその手を取るように、少しだけ逸る気持ちで駆け出した。

    《色褪せない 例え今日が過ぎたって
    君に出会えてちょっと後悔してる

    だってこんなに切なさが溢れて脆くさせる
    約束しよう お元気で とりあえずじゃあね

    どうしてだろう ほら 浮かんでくるのは
    いつも何となく笑っていられたこと
    明日もう 来なければいいのに
    君もそんなふうに思ってくれてるのかな?
    気付いてしまった 求めてた自由は ここにしかないと

    色褪せない 今日世界が滅びたって
    君に出会えてとても後悔してる

    だってこんなに切なさの無限ループ
    悔しいけど 約束しよう とりあえずじゃあね

    どうしてだろうほら
    浮かんでくるのは いつもなんとなく、らしくいられたこと
    ネガティブだらけのsnsの日々 消えてしまいたいと何度も呟いたんだ

    気付いてしまった 探していた答えは君がくれた

    色褪せない例え遠く離れたって
    君に出会えてとても幸せでした
    霞がかる遠ざかるその笑顔また探すから
    約束しよう とりあえずじゃあね

    伝えたい想いが溢れて止まないけれど
    言葉には出来ないのが愛でした》




    参考
    文中曲・歌詞
    Diary/GOTCHAROCKA
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    Replies from the creator

    recommended works

    和花🌼

    DONE夏祭りワードパレットを使用したリクエスト
    7 原作
    ・帰り道
    ・歩調を落として
    ・特別
    ・あっという間
    ・忘れられない

    暑苦しいほど仲良しな二人を楽しんでいただけたら嬉しいです。
    夏祭り 7(原作) 夏祭りといえば浴衣を着て、友人や家族、それに恋人なんかと団扇で顔を仰ぎつつ、露店を横目で見ながら、そぞろ歩きするのが醍醐味というものだ。それに花火も加われば、もう言うことはない。
     だが、それは祭りに客として参加している場合は、である。
     出店の営業を終え、銀時が借りてきたライトバンを運転して依頼主のところに売り上げ金や余った品を届け、やっと三人揃って万事屋の玄関先に辿り着いた時には、神楽はもう半分寝ていたし、新八も玄関の上がり框の段差分も足を上げたくないといった様子で神楽の隣に突っ伏した。そんな二人に「せめて部屋に入んな」と声をかけた銀時の声にも疲れが滲む。暑いなか、ずっと外にいたのだ。それだけでも疲れるというのに、出店していた位置が良かったのか、今日は客が絶え間なく訪れ、目がまわるような忙しさだった。実際のところ、目が回るような感覚になったのは、暑さと疲労のせいだったのだが、そんな事を冷静に考えている暇もなかった。
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