萩原さんと朝の光景遅刻しそうで焦って洗面所で朝の支度をしていると萩原が起きてくる。
「おはよ、◯◯ちゃん。もしかして時間ギリギリ?」
「うん、ちょっと寝坊しちゃって…」
「んじゃ、さっさと用意して送ってくとしますか」
寝坊した私が悪いのに送ってくれるなんてほんとに優しいな…と思っていると、着替えてきた萩原はちょっとごめんよとメイクをする私の横で身支度を始めた。顔を洗って、寝癖を直してから髪を整えて。何度も見たことがある光景の筈なのに、鏡越しに自分と並ぶ姿を見るのは初めてでなんだか不思議な感覚だ。普段から彼との身長差を感じる事はあったが、横に並ぶとこうも差があるのか。
「前、ごめんね」
「え、あ、うん」
少し上の棚に置いてあったワックスに手を伸ばす萩原の何気ない表情に、そして鏡越しに合った視線に心臓がキュッとなった。普段からカッコいいとは思っていたが、支度をしている時からカッコいいというのはずるいと思う。
私が何を見ていたかなんてお見通しのようでくすりと笑うように口元が弧を描いた。
「ほら、早くしないと遅刻するよ」
「も、もうちょっと待って…!」
私が萩原に見惚れて動きが鈍くなっているうちに彼の支度は終わったようで、私の少し後ろに立ち、にこにこと今度は鏡越しに彼がこちら見つめていた。
「可愛い彼女が更に可愛くなってくのを見られるのはやっぱいいな」
「そういう惚気は時間のある時にね…!」
「え〜、◯◯ちゃんだって俺に見惚れてたでしょ?」
「よし、準備出来た!萩原はいつだってカッコいいよ!」
そう言い残して急いで洗面所を出てリビングに向かい、スマホと鞄を手に取るとそのまま玄関に向かうが萩原がいない。もしかしてと洗面所を覗くと赤くなった顔を抑えてへたりこんでいる萩原がいた。
「ちょっと、送ってくれるんじゃなかったの!?」
「も〜!!◯◯ちゃんの言い逃げずるいって…!」
「だって事実じゃない。ほら、遅刻しちゃうから」
ね?と首を傾げつつ手を差し出すと手を握り返されたが、そのまま萩原の方へ引き寄せられて腕の中に収まってしまう。
「俺の彼女はほんとに素直でいい子だな」
萩原?と名前を呼ぶ前に彼の唇によって塞がれてしまう。
「よし、ぜってぇ遅刻しないように飛ばすから、舌噛まねぇようにな」
「ひぇ…安全運転でお願いします…」
と朝からドタバタな萩原と彼女