私をだめにする研二くんはちょっぴり意地悪「世の中やりたい事が溢れかえりすぎてる」
「うん、急にどうした?」
ソファにもたれ掛かりながら携帯から目を離すこともなく発した私の独り言は隣に座る萩原に拾い上げられた。たいした内容でもない、むしろくだらないくらいなのに本当に優しい人だ。その好意に甘えて私はこのくだらない言葉の続きを発した。
「ゲームもしたいし、撮り溜めたテレビも見たいし、この前買った本も読みたい。でもやりたい事がありすぎて何も進まないの」
「それは疲れてんじゃねぇの?」
無意味に画面をスクロールしてSNSに時間を費やす私を見て萩原はそっか〜と苦笑した後、ほらと私の目の前に手を差し出した。その意味が理解出来なかった私は片手をその手に乗せてみるけれど、けらけらと笑う彼の様子からどうやら正解ではないらしい。
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