クリパしてくれ「酒足りてる?」
「ケーキ受け取ってきたよ」
「チキン焼けたよ!」
「前菜も用意できている」
「食器並べなきゃね」
とあるクリスマスイヴ、とある家では騒がしく用意が行われていた。
「こらミスタ! つまみ食いはダメだよ!」
「ちぇ。 ちょっとぐらいいいじゃん」
「たくさんあるから構わないさ」
「ヴォックスまで!」
わいわいと騒ぐ面々は、いつもと同じ様相で、いつもと違う食卓を前にしていた。大きなターキーチキンにホールのケーキ。何本ものスパークリングワインが並んでいる。もちろん、骨付きの唐揚げやサラダ、パスタなどの軽食もあって彩り鮮やかだ。
「プリングルスも置いていい?」
「チョコも用意してる!」
「ツマミにちょうどいいんじゃない? ちょっと量多いかもだけど」
「構わないさ。 明日まで騒ぎ尽くすつもりだからね」
「ローストビーフも用意できたよ」
「待ってました!」
「POOOOOOG!」
「んはは、映画とかも流しちゃう?」
そういってシュウが取り出したのは、クリスマスがテーマのいくつかのBluRay。
「いいな! どれ見る?」
「くじ引きみたいに、目をつぶってとったやつにしよう。 さぁ、アイク」
「なんで僕なのさ」
「責任重大だぜ」
「もう…なんだっていいくせに」
苦笑しながら、BluRayを選び抜く。男の子が留守番をして、泥棒を追い返す話を選び抜いた。クリスマスにはちょうどいいだろうと皆揃ってテレビの前に集まる。流れ出した映像をそっちのけで食卓に戻れば、誰からともなくスパークリングワインを注いだ。
「それじゃあ〜?」
「「「「「ハッピークリスマス!」」」」」
合図を皮切りに、各々動き出す。あるものは骨付きの唐揚げを、あるものはまずケーキを、あるものはワインを嗜み。聖夜はまだ始まったばかり。