君から貰った物だから「はい、プレゼント」
そう言って渡されたのは大きなクマのぬいぐるみ。そこそこの体格のミスタでも抱えなければ持てない程度に大きなクマだった。
「おれ今日誕生日じゃないけど」
「知ってるよ。 店で見てあげたいって思っちゃった。 ミスタ、猫のぬいぐるみも愛用してるでしょ。 仲間に入れてあげてよ」
そういって、クマを押し付けられる。触り心地はふんわりとしていて、ほっと心が落ち着いた。ミスタ自体、ぬいぐるみは嫌いでは無い。それに愛する恋人からプレゼントされたぬいぐるみだ、愛着なんて既に湧いている。
「こいつの場所作ってやらないとね」
「ミスタのベッドにおさまるかなぁ」
「収まんなかったら、椅子とか買うわ」
ミスタはクマをぎゅうっと抱きしめ、めいっぱい頬擦りをする。シュウはと言えば、そんな可愛い恋人を愛おしい目で見るばかりだった。買ってきてよかった、そう思いながら。
結局クマの行き場はどうなったのだろうか、とシュウはこっそりミスタのベッドを見やる。そこには、クマを抱きしめて眠るミスタと、抱きしめられてぎゅうぎゅうになっているクマがいた。微笑ましく見ていると、反対側にはいつもの猫のぬいぐるみが寝かせてある。きっと一人では寂しいと思ったのだろう。
「ミスタのそういう優しいところ、好きだよ」
まだ目覚める気配のない恋人にそっと口付け、シュウは朝の支度に取り掛かった。