好きな人「好きな人が出来たんだ」
それは突然の事だった。何気ない一日。配信をして、空き時間にミスタの部屋に行って、だらだらと駄弁るだけ。そんな中落とされた爆弾発言だった。シュウはミスタのことが好きだった。ミスタの言うことはなんでも聞くし、甘やかしてきた自覚がある。だがそれとこれとは話が別だ。ミスタに好きな人が出来た?自分以外に?付き合ってる訳でもないのに、どす黒い感情が胸を占める。あれ、ボクこんなに怒りやすかったっけ?
「へえ、誰? 気になるな」
無難に探りを入れると、シュウも知ってる人だよと返される。となれば、Luxiemの誰かか?ルカは…友達って感じの方が強いから、違うか。アイクもママと息子って感じだ。あぁ、でもあのじゃれあいが好きなのかもしれない。ヴォックスは一番可能性がある。なんたって、二人でイチャイチャしているのを何度も目撃しているのだから。パートナー相談所に行こうなんて冗談を言ってさ。あれって冗談じゃなかったの?
そんなことを考えていると、ミスタがシュウ?と心配げに声をかける。いつの間にか寄っていた眉間のシワを解きながら、何?と返事をする。
「シュウはさ…俺の好きな人、気になる?」
「勿論」
「じゃあさ、」
もしシュウが好きって言ったらどうする?
ミスタは顔を赤らめ、じっとシュウを見つめる。その表情が嘘ではないと物語っていて…。
「それなら、凄く嬉しい! あぁ、よかった。 もうちょっとで理不尽に怒るところだった」
「えぇ、なんでさ」
「ボクはこんなにミスタが好きなのに、ミスタはボク以外が好きなんだって思うとなんだかイライラしちゃって」
その言葉に、にやける顔を抑えながら「変なの」とミスタは呟いた。