誘ったとかじゃないから「おいで、シュウ」
「…ねえ、ほんとにやるの?」
「そんな緊張することじゃないでしょ? 焦らした方が恥ずかしくなるよ」
「わかった、わかったから、焦らすとか言わないで」
じっと見つめてくるアイクに居心地の悪さを感じながら、足を進める。目指すはアイクの膝の上で…。
「…絶対重いよ?」
「シュ〜ウ〜?」
「言っとくけどそこそこ筋肉あるし」
「いいから、早く」
トントンと膝を叩いて、じっとこちらを見つめられる。
「…はぁ、ほんとに知らないからね」
観念して、恐る恐るアイクの膝の上に腰を下ろす。細い足が折れてしまいそうで、なるべく体重をかけないように足に力を入れる。すると、肩をぐっと押されてしまい思いっきりアイクにのしかかる形になってしまう。
「アイク?!」
「はは、重いね」
「だからそう言ったでしょ、もう! 手離し、て」
するりと手が離れ、ぎゅっと抱きしめられる。アイクの息が背中にあたって顔に熱が集まるのを感じる。じわじわと耳まで熱くなってきて抜け出そうとするが、アイクの腕がそれを阻止する。
「ア、アイク! 離して! 重いでしょ!」
「うん、重い」
「じゃあなんで…ッ?!」
ちゅ、と耳にリップ音が響く。突然の温かさにびくりと肩が震えた。
「ははっ、可愛い」
「もう!」
くるりと振り返り、アイクの唇に噛み付いた。
「やられっぱなしは癪だから」
きっと睨みつけ、急いでアイクの腕から抜け出す。見てみれば惚けた顔をしていて、思わず笑いが漏れた。くすくすと笑っていると、盛大なため息が。
「シュウ、君さ…」
「んはは、アイクが悪いからね」
いや、とかぶりを振る。
「誘うのが上手だね」
「へ…?」
「来て」
ぐい、と手を引かれる。見てみればアイクの耳も真っ赤で、手を引かれた先は─